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本書は、説明文・論説文の授業をどういう手順で展開していけば、子どもに確かな力がつくのか(指導過程)について述べています。また、説明文・論説文の授業では、小中9年間でどういう力をつけていけばよいのか(教科内容)について書いています。『物語・小説の「読み」の授業』も、物語・小説の指導過程と教科内容について述べています。ジャンルは違いますが、コンセプトは同じです。国語の授業では、これらの点がこれまで曖昧でした。それに一石を投じるものです。また、教材研究を多く提示している点も共通しています。
3つの指導過程の前にまず「表層のよみ(出会いよみ)」があります。そこで、子どもたちに教材との幸せな出会いを作り出します。その上で、まずは構造よみで、説明文・論説文の全体像を俯瞰します。俯瞰できるかできないかで、子どもたちの読みの確かさ・深さは大きく変わります。その上で、論理や事柄を読んでいきます。「柱の段落」「柱の文」を軸としながら、論理関係を立体的に把握します。最後に、構造・論理の読みを生かしながら、説明文・論説文の書き方の工夫・優れた点、またわかりにくい点・不十分な点を発見していきます。
ベテランの先生方だけでなく、まだ20代の先生方にもわかりやすく読んでいただけるように書きました。まずは、構造→論理→吟味の手順で、一度授業をしてみてください。かなり手応えがあるはずです。そして、少しずつご自身のオリジナルの工夫を、そこに加えていってほしいと思います。ご自身で教材研究していく時にも、本書は役に立つと思います。
構造よみでは、「どこまでが『はじめ』『序論』か」「『中』『本論』はいくつに分かれるか」などをめぐって、子どもたちの間で豊かで楽しい対話が生まれます。また、論理よみでは、「どれが柱の段落か」「どれが柱の文か」「この段落とこの段落はどういう関係か」などをめぐって、対話や討論が始まります。もちろん吟味よみでも、「この文章がわかりやすいのはどうしてか」「なぜ説得力があるのか」「なぜここで読み手は迷うのか」「どうすればよりわかりやすくなるか」などをめぐっても、多面的な検討が生まれます。これらは、そのままアクティブ・ラーニングの授業です。
物語・小説の授業は子どもたちにまずまず人気があるようですが、説明文・論説文の授業はあまり人気がないようです。しかし、説明文・論説文の授業も、それに適した指導過程、指導方法を教師が生かすことができれば、とても楽しいものになります。また、確かに力がついたと、子どもたちが意識できるようにもなります。本書は、説明文・論説文の指導過程・指導方法、またどういう力をつけるかという教科内容を、具体的にていねいに提示しました。本書を参考に、あたらしい説明文・論説文の授業をぜひ試みてください。