著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
この一冊で子どもも先生も安心!クラスみんなを包み込む365日の国語授業づくり
立命館小学校宍戸 寛昌
2016/7/14 掲載
 今回は編者を代表して宍戸寛昌先生に、新刊『板書&イラストでよくわかる 365日の全授業 小学校国語 1〜6年下』について伺いました。

―本書は、『365日の全授業』シリーズ、待望の続編です。上巻をご購入くださった先生はもちろん、そうでない先生も思わず買いたくなる、本書のおすすめポイントはなんですか。

  明日は面白い国語の授業ができそうだというイメージがもてること、本書の魅力はこれに尽きます。とかく国語の授業は重厚・堅固・取っ付きにくいと思われがちですが、授業のねらいと教材の勘所さえ押さえれば、こんなに多種多様な進め方ができる教科はありません。本書では、この2点を板書例とイラストで明確に示しています。それが1年365日分。国語の授業に自信のない初任者の先生も、もっと国語の授業を極めたいベテランの先生にも、必ず役立つ「座右の書」となること間違いなしです。

上巻のインタビューでは、構成の工夫について伺ったので、下巻では、内容の工夫についてお尋ねできたらと思います。1章の理論編として「特別な支援を要する子も包み込む授業づくり」というトピックを入れていただきました。当該学年の子どもの実態や指導内容に先んじて特別支援のことを取り上げていらっしゃるねらいはなんでしょうか。

 「特別な支援を要する子ども」という取り上げ方は、暗に「普通の支援で十分な子ども」がいることを前提としています。普通の支援とはいったい何でしょう。本来、わたしたちの支援は個に応じた特別なものであるべきです。そのような考え方をベースに授業づくりや授業の改善を進めたいと思い、理論編に一つの節を設けたわけです。クラスの「あの子」に有効な支援は、きっと他の子どもにも有効でしょう。本書では毎時の「授業の注意点」にもいくつかの支援例を書いています。ぜひ個に応じて活用してください。

―本書では、“売り”であるわかりやすい4コマのイラストと板書例以外にも、おすすめのポイントがたくさんあります! 宍戸先生の「ココはおすすめ!」を教えてください。

 本書ではいくつかの単元の指導計画に「コラム」を書いています。大きな声では言えませんが、ここには各執筆者のとっておきの授業ネタや、オリジナルの指導バリエーションを載せていることが多いのです。私のおすすめは、2年下「ことばを楽しもう」に書いた「ぎなた読み」(区切りを変えて読むことによる意味の違いを楽しむ言葉遊び)に関するコラムです。毎年学級開きの時期は「恐怖のみそ汁」「悪の十字架」といった怖い話で「今年の担任は面白い先生だなあ」と思わせるのですが、ここにも国語教師としてのこだわりがあるのです。おっと、続きはぜひ書籍の中で!

―年度の後半は、子どもたちが授業のルールにも慣れてぐんぐん力をつけていける時期である一方、授業時数が足りないかも…と焦ることも多いと聞きます。どんなふうに本書を活用していただいたらよいでしょうか。

 教科書の指導書には、単元の時数をびっしり使った場合の指導展開例が載っています。これを見ると「今日は最後まで行けなかった」「あと〇時間で終わらないと」と焦ってしまいますので、あまりとらわれないことをおすすめします。それに比べると本書は、1時間が見開き2ページにまとまっている上に、どの授業も4つの段階に分けられているので、イラストを見ながらポイントをつかむことができます。また、どのような言語活動を行うかもイメージしやすいため、単元計画を変える際にも役立ちます。焦りはよい授業の天敵ですからね。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いします!

 日本中の先生の中で、本書の上巻を最も活用しているのはおそらく私でしょう。執筆しながら、「こういう本が欲しかったんだよなあ」と何度思ったことか。そんな本です。もし、あなたが国語の授業に自信があって、改善する必要を感じないのであればおすすめしません。ただ、少しでも今の授業をよくしたいと思うのならば、国語を教えることに不安を感じているのであれば、ぜひ一度この本を開いてみてください。間口は広げつつも懐は深く、どのような取り組みにも対応できる、横綱のような本ができあがりました!

(構成:佐藤・林)

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