著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「取り上げ・つなぎ・問い返す」で、形だけの学び合いから抜け出そう!
熊本市立田迎西小学校長宮本 博規
2015/1/30 掲載
 今回は宮本博規先生に、新刊『算数学び合い授業スタートブック』について伺いました。

宮本 博規みやもと ひろき

1958年熊本県生まれ。
熊本市立田迎西小学校長。
熊本大学教育学部数学科を卒業後,1982年熊本県菊池市立重味小学校に教諭として着任。その後,熊本市立小学校教諭,教頭,熊本市教育センター指導主事・所長補佐を経て現職。
全国算数授業研究会理事,基幹学力研究会算数世話人を務め,熊本県では12年間に渡り熊本県と熊本市の算数教育研究会の事務局長を務める。
熊本市立壺川小学校教諭時代には,NHK教育番組「わかる算数4年生」「わかる算数5年生」「わくわく授業〜わたしの教え方〜」等に出演。

―宮本先生は「あっ」や「えっ」など、子どもが思わず発する小さなつぶやきを大切にされています。それはなぜでしょうか?

 「あ・い・う・え・お」(子どものつぶやき)が聞こえる授業を提唱し始めて10年ほど経ちます。きっかけは、教頭になり自校の先生方の授業を参観し始めたころ、たった一人の「あっ」という何かに気づいた声や、「えっ」という疑問の声に、まわりの子どもたちが触発され、教室全体に能動的な学びが広がる場面を幾度となく目にしたことです。
 「あっ」と何かに気づいた子どもは、その「あっ」に続く言葉を何かしらもっています。また、「えっ」という疑問の言葉も、その「えっ」に続く言葉が子どもの胸の内にあります。このつぶやきの後に続く言葉をうまく引き出し、学級全員の問いにするだけで、学び合いが始まるのです。

―学び合いの授業では、事前に授業展開を構想することが重要だと述べられています。宮本先生が授業を構想する際、特に意識されているのはどんなことでしょうか?

 初任当初から「問題やめあてに対する子どもの反応こそ最高の学習素材だ」と先輩の先生方に教えられてきました。今でもその教えを大事にしています。
 授業展開を構想するうえで、どんな問題やめあてを提示するのかを考えることは当然重要ですが、その問題やめあてに対して、子どもたちがどんな反応をし、どんな解法を試みるかを可能な限り予想することも同じぐらい大切なことです。

―子どもの話し合いが活発になると、意見が拡散したり、話題が横道に逸れていってしまったりすることも多々あると思います。そんなとき、宮本先生はどのような方法で話し合いを収束させているのでしょうか?

 授業は拡散と収束の繰り返しです。教師は常に拡散と収束を意識し、授業の最後には自然な形で収束に導くことが大切です。
 話し合いが拡散し過ぎていると感じたら、まず、今話し合っていることの中心部分について子どもたちに整理させる時間をとります。そのうえでひと呼吸おいて、教師が「じゃあ、ここで一度整理するよ」という言葉とともに、さらなる収束を試みます。状況にもよりますが、このように段階的に収束させるのがおすすめです。

―本書には、授業を動かす教師のしかけとして、「取り上げ・つなぎ・問い返す」という方法が示されています。これは具体的にどのような方法なのでしょうか?

 「取り上げ・つなぎ・問い返す」とは、最高の学習素材である子どもの反応を授業の中で最大限に生かすための一連の方法です。
 まず、授業のねらいに照らして、子どもの反応の中から何を取り上げるのかを判断します。そして、その反応に他の子どもたちをどうかかわらせ、つなげていくのかを考えながら授業を進めます。さらに、子どもの思考を収束させたり拡散させたりしたいここぞという場面で、教師が問い返しの発問を行います。
 画一的で、形だけの学び合い授業に陥らないための方法です。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 本書には、授業を始める前の教材研究、板書計画等の下ごしらえから、学力向上に直結するまとめや評価まで、「スタートブック」という書名にふさわしく、算数の学び合い授業を始めるためのあらゆる情報が詰まっています。
 読者の先生方が、「これならすぐにできそうだ」と思われるところスタートしてみてください。

(構成:矢口)
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