著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
指導失敗の原因は「かくれたカリキュラム」にあり!
北海道北広島市立大曲小学校長横藤 雅人
2014/6/27 掲載

横藤 雅人よこふじ まさと

1955年北海道生まれ。1978年北海道教育大学教育学部卒業。
札幌市立小学校教諭、教頭、校長として勤務し、2012年より北広島市立大曲小学校長。2012年北海道教育大学客員教授、2013年より同招聘教授。
【主な著書】
『子供たちからの小さなサインの気づき方と対応のコツ』(学事出版)、『5つの学習習慣』(合同出版)、編著『学級経営力・低学年学級担任の責任』(明治図書)、共著『必ずクラスがまとまる教師の成功術!』(学陽書房)他多数

―近年、若い先生のみならず、ベテランの先生でも子どもたちの荒れや学級崩壊を引き起こしてしまうことが問題となっていますが、学級崩壊の原因はどこにあるのでしょうか?

 学級経営や授業のやり方が時代や子供の変化に追いつけていないことが、学級崩壊に結びついています。どの先生も一生懸命にやっているのですが、そのやり方が「かくれたカリキュラム」として働き、意図とは違う結果を招いてしまっていることが多いのです。

―「かくれたカリキュラム」について、もう少し詳しく教えてください。

 先生が、何気なく、あるいは「こうなるはずだ」と思って発した言葉や、無意識にとっている所作などが、子供たちには意図と違う受け取られ方をしていることは多いものです。それが日々繰り返されているのですから、先生の思惑と子供の受け取りのずれが多くなるのは当たり前です。そこで、本書では第1章で学級経営の場面、第2章で授業場面について各11場面を選んでクイズ形式で考えられるようにしました。また、第3章ではそれを改善するための具体的な方法も提案しました。

―本書では、第4章で、「かくれたカリキュラム」と「織物モデル」を合体させたワーク、「四類想定法」について紹介されていますが、ここで簡単にそのワークをご紹介いただけますか?

 四類想定法先生たちは、多くの場合直感的に「これ!」と指導方法を選びます。しかし、それですと、なかなか「かくれたカリキュラム」には気付きません。そこで、まず織物モデルの「縦糸(秩序、ルール、長幼の序、伝統)」と「横糸(子供と先生、子供と子供との、同じ人間としてのフラットな心の通い合い)」を座標軸として、ある場面で考えられる具体的な指導を4つ想定します。そして、それらを比較することで、自分が直感的に選んでいる指導方法の傾向をメタ認知できるようにしようというのが、「四類想定法」です(図参照)。短時間ででき、効果の高い方法だと思います。

―第5章では、北海道教育庁学校教育局次長の武藤久慶氏に、行政官から見た「かくれたカリキュラム」についてご執筆いただきましたが、この章にはどのようなメッセージが込められているのでしょうか。

 武藤氏は、北海道で仕事をしていた間、毎週2冊以上の教育書を読み、北海道中をくまなく回って実態を見てこられたと聞いています、その武藤氏が、教師とは少し違う視点で、しかし教師と同じように熱い思いを持って「かくれたカリキュラム」に着目していること、そして多くの教師に気付いて欲しいと願っていることを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 教育書を手に取る先生は、「まず自分が変わろう」という気持ちをお持ちだと思います。そのこと自体が、ポジティブな「かくれたカリキュラム」として、子供たちに好ましい影響を与えていると思います。しかし、自戒も込めて言いますが、人の自己認識の範囲は思いのほか狭いものです。本書が、前向きな先生の視野を広げ、省察を深める助けになったらと思います。また、指導的立場にある方には、若手の先生への具体的な指導に役立つと思います。多くの方に活用していただければと思います。

(構成:松川)
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