著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級マネジメントでクラスづくりをたしかなものに
岐阜県公立小学校長瀬 拓也
2014/5/21 掲載
 今回は長瀬拓也先生に、「THE 教師力」シリーズの最新刊として発刊された『THE 学級マネジメント』について伺いました。

長瀬 拓也ながせ たくや

 1981年岐阜県生まれ。岐阜県立中津高等学校、佛教大学教育学部教育学科卒業。横浜市立小学校教諭、岐阜県公立中学校教諭を経て、現在、岐阜県公立小学校教諭。専門は、学級組織論、教育方法学、社会科教育。高校生の時、中学校教員だった父親が白血病で他界し、教師になることを決意する。NPO法人授業づくりネットワーク理事、教育サークル「未来の扉」代表代行、クラス・マネジメント研究会代表。
 2004年に「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)新採・新人賞を受賞。主な著書に『ゼロから学べる学級経営』(明治図書)、『学級経営・授業に生かす!教師のための「マネジメント」』(明治図書、編著)『THE教師力〜若手教師編〜』(明治図書、共著)などがある。

―今回の書籍は、『THE 教師力』シリーズの1冊として、テーマは「学級マネジメント」です。「学級マネジメント」とはどういったものでしょうか?この書籍の“ねらい”や、そこに流れる先生の想いについて、教えて下さい。

 学級マネジメントは、学級びらきの「あと」を意識して16名の中堅、ベテランの先生で書いたものです。「THE 教師力」シリーズだけでなく、学級びらきの本は多くあります。しかし、学級びらきのあとの本があまりありません。そこで、学級びらきを終え、5月、6月以降、どんな意識で学級を経営していけばよいかという視点で書いたものです。
 そこで、本書で提案したのは、「学級をマネジメントする」という考え方です。マネジメントとは、経営や運営、管理といった意味があります。しかし、それだけではなく、組織を活性化し、その中にいる人々を生き生きと幸せにすることでもあります。学級担任の視点から考えれば、「目的と使命をもち、環境をつくり、その中の子ども達の活動や思いを促進すること」です。
 学級をただの集まりではなく、学習する組織に変え、一人ひとりを生き生きと幸せにするために、どんなことをすればよいか…。そんな視点で先生方に執筆してもらいました。

―長瀬先生には今春、学級経営の入門書として『ゼロから学べる学級経営』をご提案いただき、読者の方から大好評をいただいています。その読者の先生方に本書を手にとっていただけることも多いと思うのですが、本書との関連性や、読み方のポイントがあれば教えて下さい。

 『ゼロから学べる学級経営』を多くの先生に読んで頂き、とても驚いています。そして、心から感謝しています。この『学級マネジメント』は、ゼロの次、つまり、「1」を意識して作られています。0で学んだことを実際により具体的に生かすにはどうすればよいか。そんな視点で実は作られています。その上で、3つの読み方のポイントがあります。
1.他校種から学んでほしい
 今回はあえて、幼稚園の先生の学級マネジメントも入れています。実は、幼稚園の先生から子ども達との関わりや集団づくりから学ぶことはとってもたくさんあります。自分の現在の校種や学年に限らず、ぜひ他校種から学ぶという視点で読んでほしいです。

2.自分自身もマネジメントという意識を
 学級経営は「人」だと考えています。そのため、いかに、学級に対しての自分の在り方、関わり方、気持ちの持ち方を意識していくとよいと思います。

3.併読をしましょう
 ぜひ、本書をきっかけに執筆した先生方の本をどんどん読んでいくことをおすすめします。また、セミナーも行おうと話し合っていますので、ぜひご参加ください。

―4月の学級開きも終わり、子ども達が徐々に本音を見せ始める時期になってきています。中には、学級崩壊のサインと言えるものもあると思いますが、それをつぶさに見取り、手立てを講じていくにはどのようなことが大切でしょうか。

 子どもは素直です。本音を出すことは必ずしも悪いことではないと最近は思っています。もっといえば、子ども達が本音を出して、心から学びたい!と思うような学級をつくっていきたいですね。
 そのためには、先生も本音を出して、学級と自分自身を「いきいき」とマネジメントすることが大切だと思います。この質問はとっても難しく、1、2行で解決することではないし、簡単な答えは出てきません。一つだけ言えることは、僕も日々必死、日々試行錯誤だということです。

―先生は本書の中で、学び合える集団づくりには、「環境」「成長」「戦略」の3点が重要と述べられています。本書でも実践を交えて詳しく紹介されていますが、この点について教えて下さい。

 ここはぜひ、本書を読んでいただければと思っています。
その上で、
 (1)子ども達が学ぶ環境をつくるということ(環境)
 (2)教師自身も生き生きと学ぶようにすること(成長)
 (3)目的や意図をもって学級をつくっていくこと(戦略)
が学級マネジメントには欠かせないと思っています。
 今回は、環境設定に意識して作られていると思います。この場合の環境とは、教室掲示だけではなく、先生や子ども達といった「人的」環境も大きく含まれています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 16名、常に考え、試行錯誤しながら必死でがんばっています。
 僕も日々へとへとになりながら、子どもの笑顔やまわりの先生方、保護者の方の応援でがんばっています。苦しい時もありますが、うまくいったとき、それが教師冥利に尽きると思っています。ぜひ、一緒に学級をつくっていきましょう!

(構成:及川)

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