著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
新採用の先生に勇気と安心を与える本です!
北海道北広島市立大曲東小学校教諭山田 洋一
2014/3/12 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術
 今回は山田洋一先生に、「THE 教師力」シリーズの最新刊として発刊された『THE 新採用教員〜小学校教師編〜』について伺いました。

山田 洋一やまだ よういち

1969年、北海道札幌市生まれ。北海道教育大学旭川校卒業。2年間私立幼稚園に勤務した後、公立小学校の教師になる。現在、北広島市立大曲東小学校教諭。教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル代表。思想・信条にとらわれず、現場で役立つこと、教育人生を深めるものからは何でも学んできた。お笑い教師同盟副代表、実感道徳研究会副代表。
主な著書に、『教師力トレーニング・若手編 毎日の仕事を劇的に変える31の力』『山田洋一―エピソードで語る教師力の極意』(以上、明治図書)、子どもとつながる教師・子どもをつなげる教師〜好かれる教師のワザ&コツ53』(黎明書房)、『必ず知っておきたい!若い教師のための職員室ルール』(学陽書房)などがある。
ブログ:山田洋一のやあまん日記 

―今回の書籍は、『THE 教師力』シリーズの1冊として、「新採用教員〜小学校教師編〜」となっています。まずこの書籍の“ねらい”や、そこに流れる先生の想いについて、教えて下さい。

 新採用教員にとって、いまは誠に厳しい時代です。新採用のうち96パーセントの教師がいきなり担任を持っているという調査があります。つまり、即プレイヤーとして現場では期待されているのです。そういう新採用の先生方にとって、「はじめの1年」は、「疾風怒濤の1年」であるはずです。そうした先生方に、勇気と安心を与える書になればと考えています。

―本書は、新採用期を乗り越えた若い先生方の他、中堅教員、ベテラン教員の先生方も執筆者として加わり、新採用期の具体的なアドバイスをまとめられています。この構成にされたねらいについて教えて下さい。

 まず若い先生方の文章。ここには一人一人の切迫した「物語」があります。8者8様の葛藤が描かれています。しかし、それぞれでありながら、通して読むと通底する若い教師が陥りやすい「穴」が見えてきます。これは、新採用教員のみなさんに共感を持って受け止められるでしょう。
 また、中堅教師の文章は、俯瞰して「穴」に落ちることも決して悪いことではなく、いずれ飛躍するための「通過儀礼」であると教えてくれます。
 さらに、ベテラン教師の文章は、いま現実に何をしなければならないのかを、明確に示してくれています。
 これらの文章を、それぞれ読むことで、どんな新採用の先生方にも何らかのヒントを与えてくれるはずです。

―山田先生も本書の中で触れられていますが、新採用の先生方が即学級担任に、ということも珍しくなくなりました。すぐに実践力が求められ、ある意味厳しい時代と言えると思いますが、ここを生き抜いていくコツは何でしょうか?

 第1に、「夢」を捨てることです。天使のような子ども、教育という仕事のすばらしさ。そうした「夢」を捨てること。教育は、限りなく現実的なものです。現実を現実的に生きる先に、一縷の「夢」や「希望」があるのです。第2に、自分の仕事を客観的に分析し、冷めた頭で省察すること。第3に、一人で戦わないこと。信頼できるメンターを探して、その人に相談し、ヒントをもらうことです。

―若い先生方からは、学校での期待・プレッシャーなどに耐えられず、悩まれているというお話も少なからずうかがいますが、期待やプレッシャーを力に変えていくには、どういった心構えや取組が必要でしょうか?

 決して立ち止まらないこと。そして、考える前に行動することです。自己実践を省察する重要性は、強調して強調しすぎることはありません。しかし、頭でっかちになってはいけません。実践もしないで、省みてばかりいてはバランスを失ってしまいます。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 もしも、つらいことがあったら、この本を是非何度も読み返して下さい。いまは、立派に見える先輩たちも、みんな苦しんでいたのです。めげそうにもなっていたのです。先輩たちが見せてくれる「いつか来た道」を、あなたはいま這い回りながら、歩いています。あと5年もすれば、山の中腹から、「ああ、あの道で苦しんでいたなあ」と上から眺めることもできるはずです。

(構成:及川)

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