大きく2つです。ひとつは、「予想」を取り入れた数学の授業について基本的な考え方や授業の流れなどをまとめ、「予想」(問題の結果や考え方について見当をつけること)によって授業が変わることを提案しています。もうひとつは、「予想」を取り入れた具体的な授業の提案です。36の授業例をそれぞれ見開き2ページにまとめ、その授業での「予想の効果」を考察しています。
例えば次の3つがあり、いずれも生徒が「自ら考える」ことにつながります。
○学習意欲を高める
予想→「正しいのだろうか」→「考えてみよう!」
○考え方の追究を促す
予想→「本当?」「なぜ?」→「理由を考えてみよう!」
○思考の幅を広げる
予想→「他にも予想がある」→「それも考えてみよう!」
「生徒が目的意識をもって主体的に取り組む」という数学的活動を通した授業を、各領域において日常的に行うことが求められています。しかし、「目的意識をもとう」「主体的に取り組もう」と促すだけで、生徒の主体的な活動は期待できません。「予想」を通して引き出される「おや?」「なぜ?」という気持ちが、数学的活動のきっかけや原動力になると思います。
「考えることが楽しい」授業です。同じことを考えるにしても、「○○について考えなさい」と教師から与えられたことを考えるのと、「予想した○○について考えよう」と自ら考えるのとでは、考えることの楽しさは大きく異なると思います。なお、「考えることが楽しい」だけではよい授業とはいえません。その授業での指導目標が達成されたかどうかも欠かせない条件です。
「問題」について見通しをもったり仮説を立てたりすることは、生徒にとって容易なことではありません。しかし、直観(感)的に予想することはできます。数学の授業に「予想」を取り入れることは、授業での時間としては小さな提案ではありますが、「考えることが楽しい」授業の実現につながる大きな提案だと思います。本書を通して「予想」を取り入れることのよさや具体を確認していただき、授業づくりの参考にしていただければ幸いです。
考えることが難しかったり,「数学だ」と思うと考えるのを停止してしまう生徒もいます
こういった子どもたちを伸ばす授業では,なかなか「予想」を「もと」に「考えさせる」のは難しい
頭のいい,飲みこみの早い子たちばかりではありませんよ 学校は