著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子ども理解の第一歩、自分が子どもになってみよう!
京都女子大学発達教育学部教授山野 てるひ
2013/4/16 掲載
 今回は山野てるひ先生に、新刊『感性をみがいて保育力アップ!「表現」エクササイズ&なるほど基礎知識』について伺いました。

山野 てるひやまの てるひ

神戸市生まれ。神戸大学大学院教育学研究科美術科教育専攻修士課程修了。大学で日本画を学ぶが、卒業後副手として勤めたバウハウス予備課程を範とした基礎造形課程研究室での経験が造形教育に関心をもつ転機となる。人間の自然で原初的な総合的芸術表現を核に子どもの造形教育、表現教育を考える。最近の著書として『幼児の造形ニューヒット教材集1』『同教材集2』(何れも共編)明治図書、『子どもの心に語りかける表現教育』(共著)あいり出版など。

―保育者にとって一番大切な能力とは何か、ズバリ一つ教えていただけますか。

 保育は何よりも目の前の一人ひとりの子どもに対する理解から始まります。資質も成育歴もそれぞれに異なる一人ひとりの子どもが、今、何に関心をもち、どのように感じ、どう実現したいのかを敏感に感じ取り、受けとめることのできる「感性」が保育者にとって最も大切な能力の一つだと言えるでしょう。

―本書のタイトルに「感性をひらいて」とあります。そもそも、「感性」とは何でしょうか。また「感性をひらく」と、保育者にどのような変化があるのでしょうか。

 「感性」とは、ひとことで言うなら既存の概念や知識にとらわれることなく、自分自身の感覚を通してものや事柄の本質を捉える力、個人の認識の能力のことです。勿論、概念や知識は私たちが生活する上でなくてはならない重要な認識の方法です。しかしそれらが「ひらかれた感性」と結びついて、初めて生きた創造的な認識の力となるのです。

―本書の一番のウリとして、保育者自身が取り組む31種類のエクササイズが紹介されています。一体どのようなエクササイズで、体験することによりどうなるのか、簡単に教えていただけますか?

 31種類のエクササイズは大きく 「1 身体感覚をひらくエクササイズ」と「2 五感をむすぶエクササイズ」の二つから構成されています。1は、触る、見る、聞くなどを軸にしながら日々の慌ただしい生活の中で慣習や概念で固まっている身体感覚をゆっくり解きほぐすことを目的としています。そして、2では1で刷新された個々の感覚を意識的に結びつけて表すことを試みます。それらの表現の体験を通して、今まで見過ごしてきた身の回りの小さな自然の営みや、その一部でもある自身の感覚の変化に気づくことができるようになるでしょう。それは、子ども時代の感覚を呼び戻すとともに対象化して、子どもの表現を援助できる力に必ずつながっていきます。

―保育者自身が、積極的に自分を表現することが苦手な人もいると思います。そのような保育者の方々へ、ぜひアドバイスをお願いします。

 よい保育者は、一人ひとりの子どものよいところを見つけて引き出していくことがとても上手です。それは、まず自分自身がありのままの自分をみつめ、どんな小さなことでも自分のよいところや得意なことをみつけ、それを生かして人と関わっていこうとする気持ちが土台となっています。自分を表現するというのは何か特別なことではなく、身近な人と関わっていきたいという素直な気持ちの表れのことなのです。

―最後に、この春から保育に携わる先生方へ向けメッセージをお願いします。

 長年の夢を叶えられ、本当におめでとうございます。不安と緊張で一杯のことと思いますが、先生の一所懸命な気持ちに子どもたちはきっと応えてくれます。子どもたちの笑顔を励みにしながら、一緒に感性と表現力を豊かに育んでいってください。

(構成:木村)
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