著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
エピソードで学ぶ 教師としての覚悟
北広島市立大曲東小学校教諭山田 洋一
2013/4/8 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術
 今回は山田洋一先生に、新刊『山田洋一―エピソードで語る教師力の極意』について伺いました。

山田 洋一やまだ よういち

1969年、北海道札幌市生まれ。北海道教育大学旭川校卒業。2年間私立幼稚園に勤務した後、公立小学校の教師になる。現在、北広島市立大曲東小学校教諭。教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル代表。思想・信条にとらわれず、現場で役立つこと、教育人生を深めるものからは何でも学んできた。お笑い教師同盟副代表、実感道徳研究会副代表。
主な著書に、『発問・説明・指示を超える対話術』(さくら社)、『子どもとつながる教師・子どもをつなげる教師〜好かれる教師のワザ&コツ53』(黎明書房)、『必ず知っておきたい!若い教師のための職員室ルール』(学陽書房)などがある。
ブログ:山田洋一のやあまん日記 http://yarman17.blogspot.jp/

―本書は、「エピソードで語る教師力の極意」シリーズの1冊で、山田先生の教師人生を支えてきた方法や発想を、具体的なエピソードをまじえて語っていただく書籍になっています。まず、先生にとっての「教師力」とはどのようなものでしょうか。

 私の考える教師力とは「学級経営力」「授業力」「人間力」、そして「組織人力」の集合体です。でも、「対子ども」ということに関してだけいえば、「子どもの心に灯りをともす力」だと思っています。一緒に生活する中で、子どもに「自分も、すてたもんじゃないな」って思わせる力だと考えています。

―Q1で先生があげられた教師力を身につけていくには、どういったことが大切と思われますでしょうか。

 第1に「継続すること」。教師を続けるということもそうですが、学級通信を毎日出す、子どもの記録を全員分毎日とる、同僚に毎日元気よくあいさつするなど。素志貫徹する力。第2に「素直さ」。いくら続けても、改善されていかなければ意味がない。人の言葉を受け入れる素直さが大事です。同じ意味で自分の実践を「省察すること」も大事ですね。

―山田先生がこれまで教師をされていらっしゃる中で、「転機」と言える場面が幾つかおありかと思います。一つあげるとすれば、それはどのようなことでしょうか。

 小学校の教師になって5年目に臨時保護者会を開くことになりました。その時、保護者にものすごい苦言をいただいたことですね。それまでの自分の教師修行はどこか利己的だったんです。「よい先生になりたい」って。本当は、「子どもにとってよい先生になりたい」じゃなきゃいけないのに。それからは、自分がどれだけ立派な指導をしたかじゃなく、子どもがどうなったかという「子どもの事実」を大事にするようになりました。

―教師生活は、「大切な出逢い」に彩られていらっしゃると思います。その中で、山田先生にとって印象深い出逢いを一つご紹介下さい。

 やんちゃな子がいましてね。有名なんですよ学校で。でも、その子、本当は優しくて、繊細なんです。だから、防衛本能でやんちゃもするし、気をひきもするし、暴言も吐く。そのことがわかったら急にその子が愛おしく思えたんです。そして、かわいいなあって思ってたら児童会の会長にまでなって。入学式でとっても立派な「歓迎の言葉」をしたんです。先生方、口あんぐりですよ。 ゆかいでした。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします!

 子どもと同じように、教師もまた「成長途上者」です。はじめからできる必要はないし、はじめからできることなんてないんです。私が現在できることの中で、はじめから楽にできたことなんて、ひとつもありません。だから、這い回って努力してきたんです。「エピソードで語る教師力の極意」では、ぜひ私の這い回る生き様をご覧頂きたく思います。

(構成:及川)

コメントの受付は終了しました。