- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
私の考える教師力とは「学級経営力」「授業力」「人間力」、そして「組織人力」の集合体です。でも、「対子ども」ということに関してだけいえば、「子どもの心に灯りをともす力」だと思っています。一緒に生活する中で、子どもに「自分も、すてたもんじゃないな」って思わせる力だと考えています。
第1に「継続すること」。教師を続けるということもそうですが、学級通信を毎日出す、子どもの記録を全員分毎日とる、同僚に毎日元気よくあいさつするなど。素志貫徹する力。第2に「素直さ」。いくら続けても、改善されていかなければ意味がない。人の言葉を受け入れる素直さが大事です。同じ意味で自分の実践を「省察すること」も大事ですね。
小学校の教師になって5年目に臨時保護者会を開くことになりました。その時、保護者にものすごい苦言をいただいたことですね。それまでの自分の教師修行はどこか利己的だったんです。「よい先生になりたい」って。本当は、「子どもにとってよい先生になりたい」じゃなきゃいけないのに。それからは、自分がどれだけ立派な指導をしたかじゃなく、子どもがどうなったかという「子どもの事実」を大事にするようになりました。
やんちゃな子がいましてね。有名なんですよ学校で。でも、その子、本当は優しくて、繊細なんです。だから、防衛本能でやんちゃもするし、気をひきもするし、暴言も吐く。そのことがわかったら急にその子が愛おしく思えたんです。そして、かわいいなあって思ってたら児童会の会長にまでなって。入学式でとっても立派な「歓迎の言葉」をしたんです。先生方、口あんぐりですよ。 ゆかいでした。
子どもと同じように、教師もまた「成長途上者」です。はじめからできる必要はないし、はじめからできることなんてないんです。私が現在できることの中で、はじめから楽にできたことなんて、ひとつもありません。だから、這い回って努力してきたんです。「エピソードで語る教師力の極意」では、ぜひ私の這い回る生き様をご覧頂きたく思います。