著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「教室読み聞かせ」がクラスをつなぐ!
北海道河東郡上士幌町立上士幌中学校教諭石川 晋
2013/2/8 掲載
 今回は石川晋先生に、新刊『学び合うクラスをつくる!「教室読み聞かせ」読書活動アイデア38』について伺いました。

石川 晋いしかわ しん

北海道河東郡上士幌町立上士幌中学校教諭。
1967年生まれ(北海道旭川市出身)、1989年北海道教育大学旭川校卒業。2003年同修士課程修了。2009年河東郡上士幌町立上士幌中学校赴任。
主な著書に、『「対話」がクラスにあふれる!国語授業・言語活動アイデア42』(明治図書)、『学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ』『中1ギャップ―中学校生活になじむ指導のポイント』『クラスに安心感が生まれるペア・グループ学習』(いずれも学事出版)、『中学校学級担任のためのポジティブコミュニケーションカード』(民衆社)、『中学校国語科学習ゲーム〜授業づくりの活性化につながる体験的な学び〜(DVD)』(ジャパンライム)、明日の教室DVDシリーズ第14弾「文学の授業〜読む・解く・書く〜」(Kaya)などがある。
ブログ:すぽんじのこころ http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/

―本書で提唱されている「教室読み聞かせ」は、通常の「読み聞かせ」とどう違うのでしょうか?

 「読み聞かせ」と言うと、物語や絵本を子どもに読むことを想像しがちです。後はせいぜいストーリーテリング(口演童話)でしょうか。それをもう少し広げて、学級通信を読む、子どもたち同士が作品を読みあうなども読み聞かせのフィールドに引き込んで捉え直したいと考えています。そうした活動を総称して「教室読み聞かせ」としています。

―国語の授業だけでなく、学級経営上も「教室読み聞かせ」は効果的だとのことですが、それはなぜでしょうか。

 「読み聞かせ」は小学校高学年や中学生、高校生などにこそ有効な手法であると考えています。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、例えば、直接的なコミュニケーションが成立しにくい関係において、絵本やプリントなどを間にはさむことで、それが「緩衝物」としての役割を果たし、コミュニケーションを成立させる効果が期待できます。

―本書では、38の読書活動アイデアが紹介されていますが、特にオススメの活動ベスト3を教えてください!

 そうですね(笑)。ベスト3ではなく、あまり他では見かけないプランということで、

  1. 「転校する生徒」に絵本をプレゼントする 
  2. 「マイしおり」づくりで本を読みたくなる 
  3. 「司書や司書教諭のいる図書館」の価値を学ぶ

の3つを挙げておきます。それぞれ詳しく本書で解説していますが、例えば2つ目でいえば、本を読む時にはさめるしおりを自作することで、読書への意欲はぐっと高まります。ほんとです(笑)。

―本書の巻末にはブックリストが収録されていますが、読者の先生方がより有効的に利用するための方法はありますか?

 私がどの本を選んでいるかということよりも、私がなぜその本を選んでいるかというあたりに注目して読んでいただけると嬉しいなあと思っています。またそういうことを願って、一冊一冊とのステキなエピソードを丁寧に紹介しています。本の中でも何度も書きましたが、本は最終的には、読み手の納得のないところでは手渡していけないだろうと考えています。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします!

 今年度は一年間、育児休暇を取得しました。紹介している実践の多くは、休暇に入る前の二年間の学級経営での実践群です。まえがきにも書きましたが、教室で読み聞かせに取り組む若手教師が減っていることが気になっています。伝統的なものから新しい手法までカタログ的に網羅することも意識しましたので、ぜひ活用してください。合わせて昨春5月に刊行した『「対話」がクラスにあふれる!国語授業・言語活動アイデア42』(明治図書)、7月に刊行した『学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ』(学事出版)と事実上の三部作の構想で書きあげました。三冊を合わせて読んでいただけると細部までイメージできるものと思っています。

(構成:林)
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