著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ちょっとした教材の工夫で数学の授業は劇的に変わる!
上越教育大学教職大学院教授松沢 要一
2013/2/14 掲載
 今回は松沢要一先生に、新刊『中学校数学科 授業を変える教材開発&アレンジの工夫38』について伺いました。

松沢 要一まつざわ よういち

上越教育大学教職大学院教授
公立および国立の中学校教員22年間、指導主事4年間、任期付大学教員3年間を経て、平成20年より上越教育大学教職大学院教員
主な著書に、『こんな教材が「算数・数学好き」にした』(単著、東洋館出版社)、飯島康之編著『GCを活用した図形の指導』、飯島康之・磯田正美・大久保和義編著『コンピュータで数学授業を変えよう』(以上分担執筆、明治図書)ほか

―本書では、アレンジしてつくった教材(After)だけでなく、アレンジする前の教材(Before)も紹介されています。それはなぜでしょうか。

 開発した教材やアレンジしてつくった教材を掲載した書物は多く出版されています。本書では、あえてアレンジする前の教材をBeforeとして紹介しました。その理由は、対比することで読者に教材の変化を実感していただくことにあります。劇的に変化した教材も少なくありません。38の事例をご覧いただき、やがては読者ご自身も教材をアレンジすることを日常化されることを期待しています。生徒の実態と読者の先生方の授業観に照らしながら教材をアレンジする楽しさは、授業を通して生徒にも感化するものと思います。

―松沢先生ご自身が教材を開発したりアレンジしたりする際、特に大切にされてきたことを教えてください。

 知識・技能、思考力・判断力・表現力、学習意欲の学力3要素のバランスのよさが求められています。しかし、TIMSSやPISA、全国学力・学習状況調査等から、日本は学習意欲が劣っていると言わざるを得ません。この傾向は、私の中学校新採用時のころから変わりません。このようなことから、教材開発や教材アレンジで特に大切にしてきたことは、学習意欲です。もちろん、ここに掲載した38の事例は、思考力・判断力・表現力の育成や知識・技能の定着にも十分役立つようにアレンジしてあります。

―本書では、18種類の教材開発、アレンジの手法と、それらを組み合わせた38の事例が紹介されています。この中で特に、はじめてでも取り組みやすいものを教えてください。

 本書に載せた18種類の手法(カードの活用、誤答利用、□の利用、増加、問題づくり、条件変更…)は、どれも単純なものばかりで、はじめての方も取り組みやすいものです。38の事例は、それらを組み合わせてアレンジしたものです。はじめて取り組まれる方は、18種類の手法を確認し、お気に入りの事例を見つけてください。その後、問題集や教科書等からBeforeの教材を選び、その教材をアレンジしてみてください。大学の授業でもやってみましたが、現場経験のない学生も見事に教材をアレンジしていました。
 

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 現場の忙しさの中で教材開発や教材アレンジの時間を見つけることは容易でないことは承知しています。しかし、明日の授業を楽しみにしている生徒がいます。少しでも生徒の実態や自身の授業観に照らして、教材開発や教材アレンジの時間を捻出したいものです。本書に載せた38事例をご覧いただき、そのまま授業に活用していただいたり、18種類の手法を参考にご自身でアレンジしていただければ大変うれしいです。本書が明日の教材開発や教材アレンジの一助になれば幸いです。

(構成:矢口)
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