著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
さあ、とびっきりの道徳授業をはじめよう!
明治大学文学部教授諸富 祥彦
2012/3/13 掲載
今回は諸富祥彦先生、尾高正浩先生、土田雄一先生に、新刊『すぐできる“とびっきり”の道徳授業』について伺いました。

諸富 祥彦もろとみ よしひこ

1963年福岡県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。千葉大学教育学部助教授を経て、現在、明治大学文学部教授。
<著書等>『道徳授業の新しいアプローチ10』『エンカウンターで道徳』『「道徳シート」とエンカウンターで進める道徳』『生と死を見つめる「いのち」の道徳授業』『人間を超えたものへの「畏敬の念」の道徳授業』『ほんものの「自己肯定感」を育てる道徳授業』(明治図書)他

尾高 正浩おだか まさひろ

前・千葉県千葉市立鶴沢小学校 教頭

土田 雄一つちだ ゆういち

千葉県市原市立白金小学校 校長

―はじめに、ズバリ「すぐできる“とびっきり”の道徳授業」とは、具体的にどのようなものか教えてください。

諸富先生:「とびっきりの道徳授業」、すなわち、「質の高い道徳授業」はこれまで、経験豊かな教師にしかできない名人芸のようなものと考えられてきました。これを可能な限り、「若手や、これまで道徳授業にあまり熱心でなかった人でもトライできる形にした」ものが、「すぐできる“とびっきり”の道徳授業」です。すなわち、若手教師や、これまで道徳授業にあまり熱心でなかった教師でも、「ここさえつかめばできる」良質の道徳授業とその具体的な型を紹介したのが、本書の特徴なのです。

―本書の特徴の一つに、自作資料、新聞記事、絵本など、いわゆる副読本に掲載されている資料以外の新しい資料を用いた実践が多いことがあげられると思います。このような資料を使うメリットと注意点は何でしょうか。

尾高先生・土田先生:新しい資料を使うということは、副読本の資料を探したがなかったことを意味します。つまり、新しい資料を使うことで、よりねらいに迫ることでき、タイムリーに子どもたちに考えさせられ、先生方がやってみたい授業ができるということです。注意点としては、自己満足にならないようにねらいに合っているのか、子どもたちにわかりやすい内容になっているか、など複数の目で十分に検討する必要があります。

―本書の特徴のもう一つは、役割演技・エンカウンターなどの手法を取り入れた実践が数多く取り上げられていることだと思います。このような活動を取り入れるメリットと注意点は何でしょうか。

尾高先生・土田先生:道徳の時間は、ワンパターンの授業が多く、教師にとっても子どもにとっても魅力的な授業が少ないのが実情でした。そこで、新しい手法を取り入れることで、教師の押し付けでなく、子どもが主体的に参加できる魅力的な授業を目指しました。注意点としては、手法のメリット、デメリットをよく理解し、手法に終始することなく、ねらいを達成するために手法を取り入れていることを忘れないことです。

―先生方も、たくさんの「“とびっきり”の道徳授業」の実践をお持ちだと思いますが、道徳授業を行う上で、大切にされている秘訣などがあれば、教えてください。

尾高先生・土田先生:道徳の授業は子どもたちにとって楽しい時間でなければならないと思っています。そのためには、資料を読んだだけで結論がわかってしまったり、教師が話しすぎたり、一部の子どもたちだけ発言するような道徳の時間は望ましくありません。子ども主体で授業が進み、互いの意見をしっかり聴いて、学び合える授業を構想していくことが大切です。常に子どもの目線に立って、資料を選択・開発し、資料に合った手法を取り入れるべきです。

―最後に、「これから道徳授業にチャレンジしよう!」という、読者の方にメッセージをお願いします。

諸富先生:みなさんの中には「道徳はちょっと苦手だな」「ワンパターンで子どものノリが悪いな」「自分でやってても、面白くないもんな」といった思いをお持ちの方もおられると思います。けれども、本書があれば、大丈夫です。そんなあなたにこそ、手に取ってほしいのが、この本です。道徳授業は「どの授業をモデルにするか」で、腕の良しあしがほぼ決まります。この本で紹介されている「すぐできる“とびっきり”の道徳授業」をモデルにして、あなたも、今日から「道徳ができる先生」の仲間入りをされてください!

(構成:茅野)
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