著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
壁新聞で、学びの成果を最強の掲示物に
兵庫県朝来市立山口小学校教諭國眼 厚志
2011/12/13 掲載
  • 著者インタビュー
  • 指導方法・授業研究
 今回は國眼厚志先生に、新刊『壁新聞で教室が大変身!』について伺いました。

國眼 厚志こくがん あつし

1963年兵庫県日高町(現豊岡市)に生まれる。
岡山大学教育学部を卒業し、中学校教員として9年間つとめた後、現職で兵庫教育大学大学院に進学し、科学教育・原体験教育を学ぶ。その後小学校教員に転じ、理科教育・自然教育・情報教育を研究し、実験講師やライブショーMC、情報教育講師を多数勤める。
著書に『わくわくサイエンスマジック』(共著・海竜社)、『環境問題を考えて活動しよう』『自然観察で楽しく遊ぼう』『文系教師のための理科授業note3・4年編』『同5・6年編』『同スキルアップ集』『ワークシートでらくらく科学クラブ』『同Part2』『同Part3』『教師のためのICT活用ネタ70選』『教師のためのラクラク便利帳92選』『プロジェクター活用で授業は劇的に変わる』『学校で学べるサバイバル術』((以上明治図書)がある。
ブログ ザッキンチョ

―壁新聞の魅力を、ズバリ教えてください。

 国語や社会で調べ学習やまとめをする活動があります。特に近年増えてきました。教科書で「新聞にしましょう」「番組をつくりましょう」「ウェブをつくりましょう」「班でまとめて発表しましょう」など簡単そうに書いていますが、実は教員の多くはこれがとても苦手なのです。できればまとめを簡単に済ませたい、そんな思いはあちこちで聞かれます。壁新聞は、班でつくるのにちょうどよいサイズで、掲示物としても観衆効果は高く、社会や国語のみならず理科や総合的な学習の時間、児童会の広報など使い道は無限に広がります。学び合いや班学習をすすめる学級には本当に効果的なツールになります。

―これまでの壁新聞のつくり方と、本書で紹介するつくり方との一番の違いは何でしょうか。

 壁新聞専用の用紙を使うことです。それと、レイアウト用紙で位置決めと文字数合わせをきちんとすることです。さらに、班の人数に合わせてレイアウトできたら、それを切り取って個人用に分割することです。こうすることで班の誰もが同じ労力で作業でき、全体のレイアウトもきちんと組め、見通しをもって壁新聞づくりに取り組めるのです。

―壁新聞づくりの活動に取り組むことで、子どもたちの日頃の学習活動の中で、変化が生じたことなどはありましたか。

 高学年を持つと、「これは壁新聞に使えるな」と学校であったニュースも記者の目で見ることができるようになります。限られた字数の中で伝えたいことを書き、学習した漢字を使い、段落を組ませることで文章力をつけることができます。他の児童の文章を見て評価したり、すてきな見出しやイラスト、最適な写真の貼り付けに感動することができるようになります。社会見学や学校行事の際には「新聞にまとめるだろうな」とあらかじめ記事の制作を念頭において取り組むことができ、しっかりと反省ができるようです。

―壁新聞づくりの活動を継続するためのコツがありましたら教えてください。

 はじめからすべてを子どもにさせようとすると、いい形にならなかったり、子ども同士が責任を押し付け合いうまくいきません。題字やリード文、編集後記やヘッダなど、共通する内容は担任が書き、それをコピーして貼り付けるなどの「手抜き」をすることで、創作意欲が高まることもあります。上手になってきたら、徐々に全部を任せるようにするのがいいでしょう。年度のはじめに「○○新聞」と題打って「第○号」と号数を伸ばしていくと「はやく○○号に到達したい」と意欲を持って書いていくことでしょう。

―最後に、全国の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 学習指導要領も改訂され、「学び合い」「伝え合い」が強調されています。班で取り組む活動は多く、その大半はやりっ放しではなく、最後のまとめを求められます。通常、まとめの活動は、やる子とやらない子の仕事量の差がなかなか大きく、担任泣かせの作業でした。しかし、本書に書いた手法を用いることにより、誰もが均等に時間内でできる新聞づくりをすることで、まとめの時間が短縮され、効果的効率的な学習が展開されることでしょう。シリーズの新聞をつくることでその手法を子どもたちが学び、まとめが楽しくなる効果があります。最初は少々面倒くさいこともありますが、何号か積み重ねることにより確実に簡単に出せるようになります。教室が、クラスが変わっていくのが目に見えてわかります。ぜひ本書を参考にして、壁新聞づくりに挑戦してください。

(構成:木村)
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