著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
現代っ子に「生き延びる力」をつけよう!
兵庫県朝来市立山口小学校教諭國眼 厚志
2011/12/5 掲載
 今回は國眼厚志先生に、新刊『学校で学べるサバイバル術』について伺いました。

國眼 厚志こくがん あつし

1963年兵庫県日高町(現豊岡市)に生まれる。
岡山大学教育学部を卒業し、中学校教員として9年間つとめた後、現職で兵庫教育大学大学院に進学し、科学教育・原体験教育を学ぶ。その後小学校教員に転じ、理科教育・自然教育・情報教育を研究し、実験講師やライブショーMC、情報教育講師を多数勤める。
著書に『わくわくサイエンスマジック』(共著・海竜社)、『環境問題を考えて活動しよう』『自然観察で楽しく遊ぼう』『文系教師のための理科授業note3・4年編』『同5・6年編』『同スキルアップ集』『ワークシートでらくらく科学クラブ』『同Part2』『同Part3』『教師のためのICT活用ネタ70選』『教師のためのラクラク便利帳92選』『プロジェクター活用で授業は劇的に変わる』(以上明治図書)がある。
ブログ ザッキンチョ

―本書は、東日本大震災を受けての緊急出版とのことですが、出版に至るまでの経緯を簡単に教えて頂けますか?

 震災のニュースを見るにつけ、我々もすぐにボランティアだとか救援物資だとか何か助ける方法は無いかを考えました。阪神大震災のときには多くの方にお世話になり、私自身も避難所のボランティアに出かけていきました。でも、ひょっとしたら震災直後の混乱期には多数駆けつけてもかえって困られることもあるのではとも思いました。多くの民間企業が震災復旧業務に限らず、期間限定であっても自社の商品を無償で提供したり、直接避難所と関わりの無い品でもサービスを提供したりとそれぞれの専門性を生かしたボランティアを行っています。我々教員には教員にしかできない取り組みがあるのではとも考えました。それが子どもに防災の意識を高めさせ、いざというときに少しでも役に立つスキルを身につけさせることなのではと考え、科学クラブのみならず、家庭や地域でも活用できる書籍を作ってみようと思い立ったのです。

―今回の震災を受けて、学校で新たに取り組みはじめたことなどあるでしょうか。

 勤務校は2年前台風による水害で大きな被害を受けました。避難所にもなり、防災への意識はかなりの高まりを見せています。引き渡し訓練の工夫、ゲリラ豪雨対策、地域を巻き込んだ防災訓練など新たに取り入れられた取り組みもあります。学校のグラブ活動では今年新たに「防災クラブ」を開設しました。新設と言うこともあり多くの希望者があり抽選を行いました。毎回渡される防災レシピを楽しみに活動しています。

―収録された25の活動はいずれもワークシートの形で紹介されておりますが、授業での活用方法を教えてください。

 見開きをB4にコピーし、人数分印刷します。このワークシートに沿って授業を進めるといいでしょう。私は授業の最後に油性ペンでサインをしてサインがたまると防災クラブ認定証を渡すことにしています。次時の準備物も印刷できるようにしていますので何をして何を用意するかわかり、重宝がられています。

―学校で防災教育に取り組んでみようという場合、まず何から始めるとよいでしょうか。

 悲惨な震災の後ではどうしても防災というと真面目に真剣にしなければならないという印象があるようです。それはそれで大切ですが、子どもたちに意識を高めさせ自分で取り組もうとする姿勢を高めさせるには、楽しく笑顔で取り組める内容も盛り込む方が長続きするでしょう。コンセプトを外さなければ多くの活動が取り入れられます。段ボールハウスや焼き芋、ホットドッグなど楽しくわいわいできる活動を取り入れると「次もしたい」と思うのではないでしょうか。時に真面目に、時に楽しくそんなメリハリが長く続くコツだと思います。

―最後に、全国の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 冒頭で書きましたが、我々教員には教員にしかできない防災への取り組みがあります。それはやはり、子どもへの指導、子どもに意識させること、そして子どもにスキルを身につけさせることに他なりません。被災地に出向かなくても支援はできるのです。その意識を大切にしましょう。その上で前向きに明るく防災教育への取り組みが出来たら長続きすることが可能になると思います。ともに頑張りましょう。

(構成:木村)
コメントの受付は終了しました。