著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
エンカウンターで子どもの心の交流を促進する活動を
宮城県仙台市立沖野東小学校教諭八巻 寛治
2010/2/12 掲載
 今回は八巻寛治先生に、『新教育課程対応 エンカウンターで学級活動12か月』について伺いました。

八巻 寛治やまき かんじ

宮城県仙台市立沖野東小学校教諭。仙台市嘱託社会教育主事指導者養成部副部長、仙台市小学校研究会特別活動部会幹事、宮城県教育カウンセラー協会副代表。上級教育カウンセラー、学級経営スーパーバイザー(Q−U等)。
【著書】 『小学校若手教師のエンカウンター入門実践テキスト』、やまかん流カウンセリング技法活用シリーズ1巻『学級保護者会・懇談会の演出スキル』、2巻『社会的スキルを育てるミニエクササイズ基礎基本30』(すべて明治図書刊)ほか多数。

―新しい特別活動に出てくる「人間関係を築く」はなぜ強調されたのでしょうか?

 答申の際には、小1プロブレムや中1ギャップなどの適応に関する課題が背景にあり、子どもたちが人間関係を形成する能力が不足していること、自己肯定感や自尊感情が低い子、ルールや規律を守れない自己中心的な言動が多い子等の背景があるからだと思います。

―学級活動でエンカウンターを活用するねらいにはどんなことがありますか?

 エンカウンターをはじめとする心と心の交流を促進できるような取り組みでは、より実感をもって「友達とのかかわり」「集団で生活するかかわり」が身に付けられるようになります。また、トラブル場面を再現した適応指導を意図的・計画的に取り入れていくことで、生活課題に即応した課題解決や合意形成の基礎づくりの効果が期待できます。

―本書では、学級活動で使える活動が月ごとに紹介されていますが、中でも特にオススメの活動ベスト3を教えてください!

 すべてお勧めですが、個→グループ→クラス集団を意識すると、次のものが挙げられます。
 低学年では、2年生の3月に「係さん、ありがとう」という係の活動を通して、個人での気づきを活かした相手へのプラスストローク(肯定的なメッセージ)を伝え合うエクササイズがお勧めです。
 中学年では、4年生の6月に「大切なあなた」というグループのメンバーへのいいところが伝わる、「言葉のプレゼント」のエクササイズ、高学年では、5年生の2月の「みんなの『喜怒(努)哀(愛)楽』〜みんなの心の体温は?〜」というエクササイズでクラスの出来事を振り返り、その後の活動に活かすきっかけにするエクササイズがお勧めです。

―小・中学生の暴力行為が増加しているようです。学校現場ではその対策としてどのようなことができると先生はお考えになりますか?

 直接的な規範やストレス解消等のかかわり方を学ぶ社会的スキルを身に付けさせることと同時に、ストレスをうまく自分で解消できるような周囲からの肯定的なメッセージ(心のエネルギーが充足できる)を伝え合うことが大切なポイントになると思います。

―最後に、全国で特別活動を実践されている先生へのメッセージをお願いします。

 「なす事によって学ぶ」“特活の心”を今後も大切にしていただきたいことと、子どもの実態に即した活動の展開を工夫することで、共に子ども達の笑顔を大切にしていきましょう。

(構成:木山)

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