著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
毎日短時間の活動で子どもが変わるクラス会議!
滋賀県公立小学校教諭森重 裕二
2010/1/15 掲載
 今回は森重裕二先生に、『クラス会議で学級は変わる!』について伺いました。

森重 裕二もりしげ ゆうじ

京都教育大学教育学部卒業後、3年間のヒッチハイカー&カヤッカー生活を経て現職。現在は滋賀県公立小学校勤務。月に1回の勉強会(RHODURUS CAFE)を開店し、地域の仲間とともに「クラス会議」を中心に教育カウンセリング等について日々修行中。

執筆歴(いずれも分担執筆)
『こころを育てる授業ベスト17』(図書文化社 2004年)
『できる教師の言葉の魔法』(教育開発研究所 2006年)
『自分とも友達ともポジティブ・コミュニケーション』(ほんの森出版 2008年)
『子どもを勇気づける心理学』(児童心理2008年12月増刊号 金子書房 2008年)

―本書で取り上げている「クラス会議」とはどのような活動なのでしょうか?

 毎日短時間の活動を継続して行う活動です。内容は、「ありがとうみつけ」、「議題の話し合い」を中心に、楽しいアクティビティなども取り入れます。毎日続けることで、ポジティブに友達と関わったり、ポジティブに問題を解決していったりすることを学びます。ベースは、アドラー心理学や解決思考アプローチなどですが、難しいことがわからなくても「クラス会議」にはたくさんのエッセンスが詰まっているので、やってみるとわかります。すごいですよ。そして、子どもにとってだけではなく、教師にとっても学びの多い活動になります。とにかく、毎日短時間の活動を継続して行うことが大切です。

―「クラス会議」を行うことで、子どもたちにはどのような力がつきますか?

 まずは、一言で言えば自信がつきます。毎日少しずつなので、その時々はわからないことが多いですが、一定期間を経るとそのパワーを感じることができます。それぞれの子どもたちの自信だけでなく、学級肯定感というか「このクラスはいい!」といった感じがジワジワと広がっていきます。あと、毎日ちょっとずつ・・・だけど、何度も何度も困ったことを話し合う経験を通して、実際の問題を解決する力をつけていきます。些細な問題から学び、実際に問題にぶつかった時に「たぶん解決できる!」とポジティブに問題に立ち向かう力がつきます。「クラス会議」を実践すれば、実際に身をもってそのことが感じられると思います。ちょっとした自信と解決の経験が両輪となって、子どもたちはどんどんパワーアップしていきます。

―本書では、「クラス会議」を実践する際に役立つ基本マニュアルやQ&Aが掲載されていますが、実践する際に特にポイントとなることを教えて下さい。

 まず「クラス会議」を実践するには、きっちりと時間設定をすることです。毎日確実にできる時間に毎日確実に行うこと、これに尽きます。あとは、基本マニュアルやQ&Aを参考にして始めてみることです。やってみると、マニュアルやQ&Aでは感じられないことを、日々感じることとなっていくでしょう。できれば、同じように実践する仲間を作ってやってみると、アドバイスしあえるのでおすすめです。「こうやらないといけない。」「これが正解!」といったものはないので、身近な方といろいろ議論して作り上げていって下さい。そして、この本をきっかけにして同じ実践をしている全国の仲間同士で、シェアしあい「クラス会議」をいいものにしていきたいのです。

―「クラス会議」は子ども中心の活動ですが、ここでの教師の役割はどんなことでしょうか?

 「クラス会議」は、子ども中心の活動ですが、子どもたちにとって安心できる場である必要があります。「クラス会議」を勝手にやらせておけばいいのではなく、常に大切にしたいことから外れていないか、子どもたちは守られているかなどを確認しておく必要があります。もしも、誰かが傷つくようなことがあったり、大切なことからそれてしまったりしている場合、毅然とした介入が求められるでしょう。子どもたちが安全に学べる場や枠を作り、そこで子どもたちを活動させるのですが、時には軌道修正することが教師の大きな役割だと思います。毎日続ける中で、日々悩みながら対応していきます。関わり方が変わった時から、子どもたちの様子が変化することにも気づく時があります。教師も学べる、それが「クラス会議」の良さの1つです。

―最後に学級経営でお悩みの先生方に一言メッセージをお願いします。

 「クラス会議」は万能の特効薬ではありません。でも、この場があることで、子どもにとっても、教師にとっても、学ぶことはとても多いのです。できれば、近くのお仲間とともに始めれば、お互いの子どもたちへの関わりの良さを学びあえる1つのツールとなることでしょう。この本を読んでいただければ、その良さがわかっていただけることと思います。実際、私も近所の若い仲間たちと実践を交流し、学び合いながらやっています。教師を初めて間もない先生の実践からも「クラス会議」を通して、たくさんのことを学びました。当然、先輩の技もたくさん学ばせていただきました。毎日同じ活動の実践だからこそ、毎日その場がある「クラス会議」だからこそだと思っています。「クラス会議」本当に心からオススメします。是非始めてみて下さい!

(構成:茅野)

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