GIGAスクール構想で変える!1人1台端末の授業づくり
1人1台端末導入で、授業が確実に変わります。そして、仕事術も確実に変わります。具体的な実践のヒント・授業のノウハウを伝授!
1人1台端末の授業づくり(6)
「温故知新」で授業を1人1台にアップグレードしよう
京都教育大学附属桃山小学校樋口 万太郎
2021/11/20 掲載

 連載6回目です。

 今年度も教育実習生がやってきていました。
 今年、気付いたのですが、この実習生のみなさんは、現場に出るとき、「1人1台端末」があたりまえの状況になっています。
 実習のときからタブレット端末を使用することが、これから求められることでしょう。
 本校は9月、クラスの児童数が半分になるように、分散登校を行っていました。
 つまり、同じ内容を2回行うということを1ヶ月続けていました。
 ある日、実習生が同じ内容の算数授業を2回みたとき、「同じタイミングで同じ考えが出てくる……」と言った1年生算数の実践(2学期)を紹介します。

1年算数 10+□の実践

 本時では以下の問題に取り組みます。

まんたくんが□えんもっています。
□えんもらいました。
なんえんもっていますか。

 まずは問題をノートに写していきます。このとき、

画像1

上の画像のように子どもたちのノートを映し出しながら、少しずつ問題を書いていきます。(ピンクの文字や線はこの後の活動で書いていったものです。)
 このとき、問題は少し先を読みながら書いていきます。
 そうすることで、耳で聴きながら、子どもたち自身で書き進めることができます。
 問題を書き終えた後
「じゃあ、式を書いてみよう」と言うと、
「え!?このままではできないよ」「どうしたらいいの?」と困惑した表情やつぶやきが子どもたちから聞こえてきました。そこで、
「どうしたら式ができるの?」と聞くと、
「□に数を書いて欲しい!」と返ってきました。
 そこで、□に以下のように数を入れました。

まんたくんが4えんもっています。
2えんもらいました。
なんえんもっていますか。

 すると、子どもたちはすぐに4+2と立式し、答えを求めていました。
 1学期の学習であるため、すぐに立式し、答えを求めることに驚きはありません。
 ここで、「どうしてすぐに答えを求めることができたの?」
と聞きました。
 すると、
「1学期の学習でたし算があったから」
「いくつといくつで考えたら、すぐに答えが出るよ」
といった返答がありました。
「みんなが言ったこと、全部、ステキです!!」と子どもたちをほめました。
 私は子どもたちに
学習したことを使って考えることが、算数の学習でステキな姿の1つです
と伝えています。
 そのため、上記のように「ステキ」とほめたのです。
 さらに、「この答えがあっているか、どう確かめたらいい?」と聞いたところ、

  • 数図ブロックを使ってみる
  • 絵を描いている
  • ドット図を使ってみる

といった1学期に考えるために使用していた方法を子どもたちがどんどん言ってくれました。これも「ステキ」だと子どもたちをほめました。
 子どもたちは数図ブロック、ドット図を使ったり、絵を描いたりして確かめようと動き出そうとしています。
 ここで、「今日は、こういうのを使って、確かめてみよう」と言い、子どもたちに以下のようなデータ(以下、お金データ)を送信し、確かめる時間を設けました。

画像2

 10円玉や1円玉は動かすことができます。
 白いところに動かし、そこに書き込みをしてもよいです。
 そして、次の問題だよと言い、□の数を以下のように書き直しました。

まんたくんが10えんもっています。
4えんもらいました。
なんえんもっていますか。

 すると、こちらが何も指示をしていないのに、

  • 立式し、答えを求める子
  • お金データを使い、式があっているのか確かめている子
  • お金データを使い、問題のイメージを把握しようとしている子

などの子どもの姿が生まれました。
 ここで、子どもたちに「上のデータをもう1度送るよ」と言ったところ、「いらないよ」と多くの子が言っていました。子どもたち自身でタイムラインから私が先ほど送信したものを取り出し、使用していたのです。1学期にタイムラインから私が送信したものを取り出すという経験を積んでいるため、1年生でもこのようなことができます。
 この問題でも、式と答えを子どもたちに発表してもらった後に、
「どうしてすぐに答えを求めることができたの?」と子どもたちに聞きました。
 ここでも
「いくつといくつで考えたら、すぐに答えが出るよ」
(ここで子どもたちが言ったいくつといくつは、この単元の前半で学習をした10と□について言っています。)
既習をもとに答えを求めることができたと言っています。
 さらに、お金データで確認をすることにしました。子どもたちが提出をしたお金データです。

画像3

 多くの子は左上のように動かしていました。
 しかし、他の5つのように線を入れて、10と1を分けていました。
 そこで、この5つを子どもたちに提示し、
「どうして、分けているのか、気持ちわかるかな?」
と子どもたちに聞きました。
「みやすくするため」
「ごちゃごちゃじゃない方がいい」
「10のへやと1のへやに分けている」
「10の位と1の位になっているね」

※10の位(10のへや)と1の位(1のへや)は前時に学習済

といった返答がありました。
 さらに、子どもたちからは

  • 5円玉はどちらの部屋に入るのか
  • 50円玉はどちらの部屋に入るのか
  • 100円玉はどちらの部屋に入るのか

といった「問い」が出てきました。
 こういった姿は、
算数の学習でステキな姿の1つである、発展的に考えていく姿
です。そこで、
「みんなが言ったように、この場合はどうなるのかなと考えていくことは、ステキな姿です」
と言い、子どもたちをほめました。
 冒頭に実習生が「同じタイミングで同じ考えが出てくる…」と言ったのは、この場面のことでした。
 お金を使っているため、このような問いも出てくるだろうと予想していました。5円玉や100円玉の画像も用意していました。予想通りの子どもたちの姿です。
 こういった姿を引き出すのは、「運ゲー」ではありません。「仕掛け」によって引き出すことができます。ここでいう仕掛けは

  • お金を使用していた
  • 前時に10の位(10のへや)と1の位(1のへや)ということを教えていた

ということです。
 ただ、正直なところ、当初の予定では13+4といった計算をしていく予定でした。
 とても迷いましたが、

  • 本時で予定していた、できなかったことをこの後の時間でどう取り扱っていくのか
  • 位などは本来、もう少し先の単元の学習。その少し先の単元との学習との兼ね合い

について考えた結果、子どもたちの問いについて考えていくことにしました。
 こういった仕掛けであったり、本時のねらいであったり、授業展開についてその場で変更したりすることは、これまでも行ってきたことです。そして、これからも必要なことであり、大切なことです。タブレット端末のある・なしとは関係のない話です。
ここまでの連載においても述べたように、タブレット端末を授業に導入するとき、どう使おうかと方法論に目がいきがちになっていますが、そうではなく
「温故知新」の意識が必要
になってきています。
 なお、子どもたちの問いは、

  • 5円玉はどちらの部屋に入ると思う?
  • どうしてそう思う?
  • 実はね〜(教師が解説)

といった流れで考えていきました。
 

樋口 万太郎ひぐち まんたろう

1983年大阪府生まれ。大阪府公立小学校、大阪教育大学附属池田小学校を経て、2016年より京都教育大学附属桃山小学校教諭。「子どもが楽しむ・教師も楽しむ」「子どもに力がつくならなんでもいい!」をモットーに日々の算数授業を行っている。『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり2』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。最新刊『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の算数授業づくり』が9月24日発刊。

(構成:及川)

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