GIGAスクール構想で変える!1人1台端末の授業づくり
1人1台端末導入で、授業が確実に変わります。そして、仕事術も確実に変わります。具体的な実践のヒント・授業のノウハウを伝授!
1人1台端末の授業づくり(2)
考えを深化する場面はありますか
京都教育大学附属桃山小学校樋口 万太郎
2021/7/20 掲載

 前回は、「協働編集」をテーマに書きました。
 白紙のスライドをただ渡すのではなく、最初はレイアウトを決めておくということや理科で使用したレイアウトについて前回の後半に書いていました。
 なぜ、このレイアウトを使用しているのか、今回は話をしたいと思います。

 このレイアウトには、グループで自然と話し合わないといけない仕掛けが3つ仕組まれているのです。
 1つ目は、誰がどこを担当するのかを話し合わないといけません。
 2つ目は、サブタイトルを決めるために話し合わないといけません。
 そして、3つ目はまとめを書くために話し合わないといけません。
 特に、この2、3つ目はそれぞれがまとめたことをもとに話し合わないといけません。
 それぞれがまとめたものを羅列しただけでは、まとめにはなりません。
 話し合うためには、それぞれのまとめができていないといけません。
 だから、もし完成していないとサポートをすることが求められます。
 そこには、必ず対話が生まれます。
 「スライドを作るのが楽しかったです」「上手に作ることができました」といった情意面のまとめなんかは、必要ありません。
 それぞれのまとめを1つのまとめにするためには、子どもたちは共通点や相違点などをみつけたうえで、考えを形成しなければなりません。
 こういった姿はより考えを深めていっている姿です。
 サブテーマを考える時も同様です。

1 新聞づくりが苦手だった……

 実は、私は単元の終わりに行う「新聞づくり」や「ノートまとめ」という活動がとても苦手でした。
 子どもたちが作成した「新聞づくり」や「ノートまとめ」が、

  • コピペをしたものだけになっていたり
  • カラフルなペンで書かれていたり
  • 小さな文字で書かれ、読みづらかったり

していました。
 そのため、提出した「新聞づくり」や「ノートまとめ」をみるのが苦痛でしかありませんでした。
 すべては、私の指導不足であるため、子どもたちには非はありません。
 苦痛と思っていながら、それをすることが当たり前かのように取り組んでいました。
 何も手立てもなく、取り組ませていました。
 当時の子どもたちに謝りたいものです。
 過去にその学校で使用されていた新聞のフレームを「自分で新聞のフレームを使わなくてもラッキー」という思いで使用していたこともあります。
 手立てもなく、仕掛けもなく、ただ子どもたちに取り組ませる。
 これは、子どもに任せるのではなく、単なる指導放棄にしかすぎません。
 だから、なんのためにその活動に取り組むのかということをしっかりと明確にもっておかないといけません。
 こういったことがないと、シンキングツール映え問題が起きてしまいます。
 (シンキングツール映え問題とは何かについては、新著『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり2』をご覧ください)

2 3つのステップの提案

 『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり2』では、以下の3つのステップを授業に取り入れることを提案しています。

(1) 自分の考えを表現・形成する
(2) 考えを共有する
(3) 自分の考えを深化させる

 上の過去の新聞づくり・ノートまとめは(1)で終わってしまっています。
 正確にいえば、コピペ・映えの表現物では(1)すら達成していないのかもしれません。
 よく新聞作成後に、グループごとにどんな新聞を作成したのかを発表していくような活動があります。
 これは(2)にあたります。
 しかし、あの活動のとき、真剣に聞いている子もいれば、聞いていない子もいます。
 過去には「しっかり聞きなさい!」と叱ったことがあります。
 が、その当時から聞かない子どもの気持ちはわかっていました。
 聞く必要感がないからです。
 また、どのような視点で聞けばいいのか、
 聞いた後にどうするのかということがわからないのかもしれません。

 理科の取り組みでは、3つの仕掛けを仕組んでいなかったら、(1)(2)で終わってしまう可能性があります。(1)(2)で終わってしまうことをシンキングツール映え問題といっています。
 しっかりと(3)まで1時間の授業内もしくは単元内で位置付けていく必要があります。

3 目指す子どもの姿は

 理想は、白紙の状態のスライドから子どもたちに任せることです。
 そして、仕掛けがなくても動き出すことができることです。
 仕掛けによって、動き出す子たちは、ある意味仕掛けにひっかかっている状態です。
 仕掛けがないと、動き出すことができない子は本当に主体的といえるのだろうかということをここ数年考え続けています。
 そして、タブレット端末を子どもたちにただ渡せば、主体的……という単純な話ではありません。
 (またこの話は違う機会にでも)

 全くの白紙ではなくても、今回の理科のフレームであれば、個人が作るところには自由度をもたせるだけでもフレームをただ与えられることとは大きく異なります。
 私は、「経験こそ全て!」だと考えています。
 こういうときはこう考えたらいいのか、こう活動したらいいのか、これを使えばいいのか
ということを子どもたち自身が経験できていくように、各学年で計画していくことがこれからより求められることでしょう。
 そのためには、

(1)教える→ (2)使わせる→ (3)子どもが使ってみる

という3つのステップが大切です。(3)がないことが多いように感じます。
 (3)のときには、子どもに任せたり、認めたり、サポートしたりといった教師の力がより求められることでしょう。

樋口 万太郎ひぐち まんたろう

 1983年大阪府生まれ。大阪府公立小学校、大阪教育大学附属池田小学校を経て、2016年より京都教育大学附属桃山小学校教諭。「子どもが楽しむ・教師も楽しむ」「子どもに力がつくならなんでもいい!」をモットーに日々の算数授業を行っている。『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり2』『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。

(構成:及川)

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