著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教師のアクティブ・ラーニングでカリキュラム・マネジメント
上越教育大学教職大学院教授西川 純
2017/1/10 掲載
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  • 授業全般
 今回は西川 純先生に、新刊『今すぐ出来る!全校『学び合い』で実現するカリキュラム・マネジメント』について伺いました。

―答申が発表になりましたが、本書のテーマである「カリキュラム・マネジメント」は、重要なキーワードの一つとなっています。まず本書のねらいと読み方について教えて下さい。

 学習指導要領の諮問にアクティブ・ラーニングという言葉が現れ、学校現場は「アクティブ・ラーニングって何?」となりました。そして、今「カリキュラム・マネジメントって何?」の状態になっています。アクティブ・ラーニングにもあったように「今までの実践でいいんです」という形骸化が起こるでしょう。楽ですから。
 しかし、アクティブ・ラーニングと同様に、そのような形骸化をすれば子どもが不幸になります。そして、これから十年以上勤めなければならない教師が不幸になります。本書は、そのような形骸化をとどめるために、具体的な方策を提案するものです。

―全校『学び合い』は、今回の改訂のねらいを実現するのに、どのように有効でしょうか。

 今回の改訂に書かれている課題をお読みください。気が遠くなるほどの課題です。直近には、教師自らが授業に対する意識を改革しアクティブ・ラーニングに対応しなければなりません。そして、それらを解決するためにカリキュラム・マネジメントがクローズアップされました。カリキュラム・マネジメントの実現方法は、アクティブ・ラーニングの実現方法と同様に多様です。それ故にアクティブ・ラーニングと同様に形骸化しやすい側面を持っています。
 しかし、一番大事なのはそれで改訂で書かれている様々な課題を乗り越えられるか?という点です。形骸化したカリキュラム・マネジメントでは不可能です。
 改訂で書かれた気の遠くなるほどの課題を乗り越えられる道は何でしょうか?それは一人の教師では絶対に不可能です。教師集団がチームにならねばなりません。本書では教科学習を軸としたチーム学校を形成する方法として、全校『学び合い』を提案しています。全校『学び合い』では教科や学年の壁を乗り越えて教師が学び合えます。カリキュラム・マネジメントとは教師のアクティブ・ラーニングなのです。

―本書の2章、3章では、全校『学び合い』で子ども、教師が変わることについて紹介されています。具体的にはどのような変化が生まれるでしょうか。本書でも詳しく紹介されていますが、教えて下さい。

 子どもの変容は『学び合い』の実践と同じです。人間関係が向上し、学力格差が縮まります。全校『学び合い』の特徴は、人間関係作りの下手な子の関係作りの進展が特徴です。同学年は長年のつきあいで「あの子は○○な子」というラベリングがなされています。それが人間関係作りの障害になっています。異学年で学び合うとそれを乗り越えやすくなります。
 実は、教師も同じです。学校には様々な問題を抱えています。個々人の教師も様々な問題を抱えています。それを乗り越えるオールマイティの方法があるとしたら、チーム力です。子どもの姿をともに語り合うことが最も確かな方法です。

―本書の5章・6章では、全校『学び合い』実現のための条件、スムースな導入の仕方について触れられています。そのポイントについて教えて下さい。

 『学び合い』の実践は全て同じです。『学び合い』はものすごくシンプルな理論と方法論で構成されています。そのシンプルな理論と方法論を数千人の人が二十年以上実践しています。そのトライアンドエラーの中で方法論は洗練され、整理されています。つまり、本に書いたとおりのことをやれば、本の通りの結果になります。ですので、ポイントは「本の通りにやってください」です。もちろん、全校レベルで本の通りにやることは無理でしょう。その場合は、数人の先生から始めてください。その数人の先生が本の通りにやって成果を出してください。

―第9章は全校『学び合い』発展編として、まとめられています。「このような形で展開できる!」という西川先生おすすめの実践を教えて下さい。

 ドラッカーの「非営利組織の経営」という本の中に、学校のような非営利組織の成功の成否は、外部のサポーターをどれだけ得られるかであると看破しています。各学校の予算は限られたものです。寄付を募っても限界があります。しかし、人的資源に可能性があります。例えば、学校にLANを引こうとするとかなりの予算が必要です。しかし、その技術を持つ人が学校のサポーターになれば材料費のみになるのです。
 どのように引き込むか?それが開かれた学校の1つの側面です。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 カリキュラムをマネジメントする?PDCAサイクルをやる?とお考えになれば、やる気を失うかもしれません。でも、カリキュラム・マネジメントとは、やりがいのある職場で、みんなで色々な困難を乗り越える、ということなのです。
 どうせやるならば、「やったふり」、「苦労ばかり」ではなく、大変でも充実感のあるものにしませんか?

(構成:及川)

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