多賀一郎の子どもと保護者の願いをよみとく教師塾
教師塾・親塾を主催する多賀一郎先生が、子どもと保護者の本音に向き合う方法をアドバイス!
多賀一郎の教師塾(5)
夏休み明けの保護者と子どもの思いをよみとく
追手門学院小学校講師多賀 一郎
2013/8/15 掲載

 夏休みが終わり、子どもたちが教室にもどってきます。夏休みの終わりから2学期にかけての子どもと保護者について、考えてみましょう。

この時期の子どもたち

◆ 子どもたちは「夏休みのことが言いたくてたまらない!」

 休み明けの子どもたちは、話したいことがいっぱいの状態で学校にやってきます。でも、2学期の初めに教師が全ての子どもの話を聞き切ることは難しいでしょう。そこで、子ども同士でお互いに聴き合う機会をつくるとよいでしょう。その際、ミラーリング・コミュニケーション等の方法を教えると、子どもたちが気持ちよく聴き合い、語り合いができます。

◆ 保護者は、「やっと子どもが学校へ行ってくれた」というのが本音

 では、保護者の思いはどうでしょうか。実は、夏休みの間毎日、子どもと一日中顔を突き合わせてきたので、正直なところ「子どもが学校へ行ってくれてほっとしている」という方は多いのです。

担任が気をつけたいポイント

家庭で生活ミニチェックをしましょう

 学期の始まりというのは、まだ学校生活のリズムにもどりにくいものです。夜更かしが当たり前という生活になっていて、朝早く起きることが久しぶりの子どもたちもいることでしょう。
 そこで、生活チェックというものがおススメです。おうちの方にも子どもたちにも、生活リズムをつくっていくための「てだて」になって喜ばれます。たくさんのチェックはめんどうで徹底しにくいかもしれないので、次の画像のような「生活ミニチェック」をすればどうでしょうか。

生活ミニチェック表

 3点…いつも、2点…ときどき、1点…ほとんどない、0点…全くない、の合計120点満点です。子どもたちに合わせて目安を作っておいて、目標にするといいですね。100点以上は合格「なかなか良いスタートが切れました」。80点以上は「まあまあ良い生活ですね」。それ未満は「努力しましょう。どこを変えていけばよいか考えましょう」というような感じです。

朝の会で生活ミニチェックをしましょう

 地域の事情によっては、おうちの方にチェックしてもらいにくいこともあるでしょう。その場合は、朝の会で2分くらいでチェックできますから、子どもたちに自分でさせて、1週間後の結果をおうちの方に伝えるとよいでしょう。

多賀先生からのワンポイントアドバイス

 不登校や、そこまではいかなくても学校へ行き渋っていた子どもたちがいる場合は、おうちの方は、2学期のスタートがすこぶる不安です。2学期の2日前くらいにおうちに電話をかけて、「どんな様子ですか。待っていますよ。会えるのを楽しみにしています」等と、その子に合った言葉で伝えましょう。少し、ほっとするのではないでしょうか。
 初日からの3日間、その子が気持ちよく過ごせることに全力を注ぎましょう。

多賀 一郎たが いちろう

 神戸大学付属住吉小学校を経て私立小学校に長年勤務。元日本私立小学校連合会国語部全国委員長。現在、追手門学院小学校講師。専門は国語教育。親塾を神戸と大阪で主催して、保護者教育に力を注いでいる。また、教師塾やセミナー等で、教師が育つ手助けをしている。絵本を通して心を育てることもライフワークとして、各地で絵本を読む活動もしている。
『小学校国語科授業アシスト これであなたもマイスター!国語発問づくり10のルール』(明治図書)『子どもの心をゆさぶる多賀一郎の国語の授業の作り方』『全員を聞く子どもにする教室の作り方』『今どきのこどもはこう受け止めるんやで』(黎明書房)など、著書多数。
 ブログ「多賀マークの教室日記」も好評。

(構成:杉浦)
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