スッキリ解決☆学びにくい子への学習つまずきサポート
どのクラスにもいる、学ぶのがちょっと苦手な子。そのつまずきの原因を探り、サポートの道筋をさぐろう!つまずきサポートの達人になろう!
スッキリ解決☆学びにくい子への学習つまずきサポート(8)
鉛筆が正しく持てず、きれいな字が書けない子
大阪府堺市立日置荘小学校 通級指導教室山田 充
2016/1/20 掲載
  • 学習つまずきサポート
  • 特別支援教育

本コーナーでは、一生懸命頑張っているのになぜか学習がうまく進まない…そんな学びにくい子のつまずきの原因を探り、そのサポート法を解説していきます。

山田先生、私のクラスの子(1年生)について相談させてください!

学びのつまずき相談

鉛筆が正しく持てず、きれいな字を書けないんです
1年生の男の子です。ひらがなを練習しています。ひらがなは覚えているのですが、きれいな字が書けません。鉛筆がただしくもてていないので、鉛筆補助具で矯正もするのですが、なかなか上手に書けません。もう2年生になろうというのに、どうすればいいでしょうか。

挿絵

鉛筆で文字を書くときに力を入れすぎる傾向にありませんか。もしくは、全く筆圧がないとか。鉛筆補助具をつけての状況はどうですか。

どちらもあります。力をいれすぎているか。筆圧が全くないか、どちらかでちょうど良い具合がありません。鉛筆を正しく持たせても、状況はあまり変わりません。

山田先生の分析

つまずきの原因を分析してみよう
文字が正しく書けないという相談です。鉛筆補助具などを使ってもあまり効果がないということですね。
要因のヒントになるのは、筆圧です。入れすぎるか、力が入らないかのどちらかということは、ちょうどよい状態に筆圧をかけるための力のコントロールが出来ないということです。正しく持っても、その状況が変わらないということなので、そこが、文字がきれいに書けない中心的な要因です。
もともと、正しく持てないという状態も上手く力のコントロールが出来ないために、鉛筆に力をいれるために、人差し指などが力をかけるために、親指の上から押さえ込むようににぎってしまうために上手く持てないというケースもあります。

なるほど、です。力のコントロールが出来ないために、正しく持てないし、きれいに書けないんですね。

学び支援のアイデア

正しく持って、鉛筆をコントロールするトレーニングが必要です
鉛筆補助具などを使いながら、正しく持つ習慣をまず、つけましょう。その上で、鉛筆の先を上手に操れるようにトレーニングが必要です。

  1. まず、濃く書いたり,薄く書いたりを意図的に何度も練習します。普通に濃い○、薄い○を指示に従って何度も書いていきます。
  2. また、2p四方の正方形にグルグルに丸を書いていったり、はみ出さないように塗りつぶしたりします。

文字できれいに書く練習は、きれいに書けないという失敗感を持ちやすいので、も字でない形を書くことで達成感が持ちやすくするとよいでしょう。
下のような練習も参考にしてみて下さい。

図1鉛筆練習ワーク
図2子どもの記入例

※右下の黒い楕円は鉛筆を持った手を置く場所です。

上の問題

手を置く場所を固定して、鉛筆の先だけを動かすためのトレーニングです。
右下の楕円に手を置いた状態で子どもは指導者が指示する番号を鉛筆の先でタップします。
指導者が「1」と言ったら、鉛筆の先を「1」にちょんとタップするといった感じです。
指導者は次々と数字を言い、子どもはなるべく素早く鉛筆の先を移動する練習を行います。

下の問題

手を置く場所を固定して、鉛筆を滑らかに使うためのトレーニングです。
左2つでは「・」の打ってある位置からまわりの枠に触れないようぐるぐると渦巻き円をなるべく多く書きます。
一番右のマスでは、はみ出さないようにマスを塗りつぶす練習をします。

なるほど。

文字以外なら、失敗間が少ないし、グルグル丸は、何重にも書くことで、前回よりもたくさん書けたなどの評価も可能です。

学びづらさ、それ自体への支援

きれいな文字が書けない要因は他にもいろいろあります
文字がきれいに書けない要因には、今回説明した要因の他にも、位置関係を認識する力が弱かったり、形を認識する力そのものが弱いなどの可能性もあります。絵が上手にかけるかや、右左の感覚があやしくないかなどの、アセスメントをしっかりすることで、他の要因についても検討することが大切です。

山田 充やまだ みつる

小学校首席教諭 S.E.N.S-SV(特別支援教育士スーパーバイザー)
自閉症スペクトラム支援士アドバンス
日本LD学会代議員

(構成:佐藤)

好評シリーズ
コメントの受付は終了しました。