教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術
定時で帰りたいけど、授業も学級経営もうまくなりたい! そんな欲ばりな先生のために、5つの主任業務を同時にこなしたスーパー教師がとっておきの時間術を大公開!
教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術(9)
春休み中は「やりたいこと」を構想する
京都文教大学准教授大前 暁政
2017/2/25 掲載
  • 大前暁政の“欲ばり”時間術
  • 教師力・仕事術

 新年度の4月が始まると、時間がいくらあっても足りない状態になります。だとすれば、創造的な仕事は、余裕のあるうちに着手したいものです。

春休みを空けるために

 新年度4月がスタートすると、一気に多忙になります。一方、3月はまだ余裕があります。ここでどれだけ仕事を終わらせられるかで、4月からの余裕が決まってきます。
 まず、教室の片づけを早めに行っておかなくてはなりません。
 教室の片づけを、3月の終わりや4月のはじめに教師1人で行う人がいます。これでは、労力と時間がかかり過ぎてしまいます。
 そうではなく、3月の修了式までに教室の片づけをしておくべきです。「お世話になった教室をきれいにしよう」と子どもに伝え、掃除や整頓をしておくのです。ワックスをかけたり、ロッカーや机を磨いたり、教室の備品を整理したりといった作業を、一気にやってしまいます。
 これで、修了式が終わったら掃除は完了していますし、自分の荷物も別の教室に運び込める状態になっています。春休みは大変短いものです。だから、春休みを空けておくという意識が大事になります。

時間のかかる仕事を春休みにもってくる

 さて、春休みになったら、ここに最も時間のかかる仕事をもってきます。
 春休みにやっておきたい時間がかかる仕事とは何でしょうか。
 それは、今年の反省と来年度の目標を決めることです。
 この2つの仕事は、ともに創造的な仕事です。
 下準備として、今年の学級経営や授業をふり返り、思いつくままに、反省点や改善点をあげておきます。
 もちろん、子どもや保護者からの教員評価アンケートも参考にします。
 そして、反省ができたら、「来年度の学級経営や授業でやりたいこと」を考えます。ここで大切なのは、「やるべきこと」ではなく「やりたいこと」を考えるという点です。
 やりたいことを考えるのは、この余裕のある期間にしかできません。4月になれば、嫌でもやるべきことに追われるようになります。

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 春休みには、本や雑誌、授業ビデオを見る時間もたっぷりとることができます。セミナーにも足を運び、来年度にやりたい実践を構想します。
 また、1年間をふり返ったとき、やるべきことが多く、余裕がない1年だったと感じたなら、次のように考えるとよいでしょう。
 「やりたいことを1つ増やし、昨年度やってみて、やらない方がいいこと、やりたくないことを1つずつ減らす」
 こうして、春休みに反省を行い来年度の目標を大まかに考えておきます。
 すると、4月になるころには、アイデアがまとまってくるはずです。ふと、「学級経営や授業をこう改善してみよう」ということが思い浮かぶのです。
 また、特別な支援を要する子を担任することがわかっているなら、関係機関との連携の仕方も模索しておかなくてはなりません。春休み中に関係機関とのやりとりをしておくと、4月になって慌てずに済みます。特に医療機関との連携は外せません。

 春休み中に創造的な仕事をやっておくのが最大のポイント。来年度の学級経営や授業を進化させるために、できることを探して先手を打っておきたい。

大前 暁政おおまえ あきまさ

昭和52年生まれ。岡山県の公立小学校教諭を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)として赴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞。著書に、『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』『プロ教師の「折れない心」の秘密〜悩める教師への50のアドバイス〜』『プロ教師直伝! 授業成功のゴールデンルール』『プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK―』『スペシャリスト直伝!板書づくり成功の極意』『スペシャリスト直伝!理科授業成功の極意』(以上、明治図書)、『必ず成功する!授業づくりスタートダッシュ』(学陽書房)、『NHKおじゃる丸 クイズでおじゃる 目指せ小学校クイズ王』(執筆協力、NHK出版)などがある。
著者HP:『大前暁政の教育』

(構成:矢口)
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