教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術
定時で帰りたいけど、授業も学級経営もうまくなりたい! そんな欲ばりな先生のために、5つの主任業務を同時にこなしたスーパー教師がとっておきの時間術を大公開!
教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術(6)
「その場主義」の効率性
京都文教大学准教授大前 暁政
2016/11/25 掲載
  • 大前暁政の“欲ばり”時間術
  • 教師力・仕事術

 仕事をその場で終わらせる「その場主義」を取り入れると、時間は大幅に節約できます。その場主義を取り入れるべき仕事とは、どんなものでしょうか?

後から時間をとる必要があるかどうか

 後から特別に時間をとらなくても、その場でできる仕事はその場で終わらせていきます。
 かつての私は、日記のコメントを放課後に書いていました。というのも、放課後だけは、唯一まとまった時間がとれたからです。
 しかし、これは、まとまった時間がとれる放課後にわざわざやらなくても、朝自習の時間にやってしまうことができる仕事です。
 朝自習の時間は15分と決まっています。プリントを日直が配付し、そのプリントに従って、子どもたちは自習を行います。
 プリントには、答えも解説もついていて、わからなければ答えや解説を見てもよいことになっています。終わったら読書です。
 自習ですから、基本的に子どもだけが黙々と問題を解いていきます。
 答えと解説つきですから、特に質問も出ません。
 そこで、朝自習の間に日記のコメントをさっさと書いていきます。算数や漢字の宿題も○つけはすべて子どもがやってきているので、ハンコを押すだけです。
 朝自習が終わるころには、日記と宿題のチェックはすべて完了します。

「その場主義」で行うとよい仕事

 テストも、提出した子からすぐに採点していきます。
 採点したら、即返却します。時間があれば、テスト直しもさせます。テストの直後に間違い直しをするから、時間がかかりません。

B

 漢字テストの○つけは、その場で子どもにさせます。
 さらに、集めるときに100点の子とそうでない子に分けておきます。
 ほとんどが100点であれば、100点ではない子の点だけ記録簿につけるようにすると、その場で記録も完了します。
 夏休みの作品発表なども、その場でできることはやっておきます。
 子どもが作品発表をしている最中に、カードにコメントを書くのです。
 発表が終わったら、カードを子どもに渡し、作品に貼らせます。教室の後ろに置かせれば、それで作品展示が完了します。自由研究も、図工作品も、科学研究もすべて、発表後には掲示も完了します。
 普段の図画工作の授業で作品発表会をする際にも、名前と説明の紙を作品に貼らせ、掲示までをその場でやってしまいます。子どもによって作品の説明欄に自分の工夫を記入するのに時間差がありますから、書けた子から掲示をしていきます。教師は掲示をしていますが、子どもは作品鑑賞会を同時並行で行います。これで、鑑賞会も掲示もすべてをその場で完了できます。
 ちなみに私は、鑑賞会中に評価も終わらせています。作品鑑賞会は時間がかかるので、子どもの作品を評価する時間は十分にあります。
 このように、記憶が新しいうちにできる仕事をその場でやるようにすれば、より仕事を効率的に終わらせることが可能です。

 その場で片づけられる仕事はその場で片づけよう。特に、記憶が新しいうちにやった方が効率的な仕事は、必ずその場で終わらせるようにしたい。

大前 暁政おおまえ あきまさ

昭和52年生まれ。岡山県の公立小学校教諭を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)として赴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞。著書に、『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』『プロ教師の「折れない心」の秘密〜悩める教師への50のアドバイス〜』『プロ教師直伝! 授業成功のゴールデンルール』『プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK―』『スペシャリスト直伝!板書づくり成功の極意』『スペシャリスト直伝!理科授業成功の極意』(以上、明治図書)、『必ず成功する!授業づくりスタートダッシュ』(学陽書房)、『NHKおじゃる丸 クイズでおじゃる 目指せ小学校クイズ王』(執筆協力、NHK出版)などがある。
著者HP:『大前暁政の教育』

(構成:矢口)
コメントの受付は終了しました。