長瀬拓也プロデュース エキスパートが教える!とっておきの授業スキル
ベテラン教師のコツを強力執筆陣がリレー連載! 学級・授業がもっとうまくいくヒミツ、教えます!
エキスパートが教える!とっておきの授業スキル(9)
反復学習で国語の力を育もう!
小学校教諭長瀬 拓也
2015/2/5 掲載

長瀬:第9回は、音読指導の論考も書かれている山田先生のご実践です。山田先生とは近刊『ゼロから学べる仕事術』でも一緒に執筆しました。どうぞよろしくお願いします。

国語話す・聞く・書く・読むは繰り返して身につける
山田将由先生

全ての教科の中の筆頭科目が国語です。話すこと・聞くこと・書くこと・読むこと、そして言語事項は国語科だけでなく、他の教科の基盤にもなります。この力は一朝一夕には身につきません。反復学習を意識して取り組んでいきましょう。

スキル1易から難へのスモールステップ

 できないことができるようになるコツは、できるところまで戻ってから始めることです。
 漢字であれば6年生であっても1年生から始めます。漢字が苦手な子も1年生の漢字であれば大体理解できます。スラスラ書けるようになるまで練習して、次に2年、3年と進めていきます。
 スピーチであれば10秒スピーチから始めます。また、最初から全員の前で発表するのではなく、隣同士のペアで発表、後ろ前のペアで発表、班で発表、メンバーを変えて小グループで発表と、少ない人数から始めます。
 作文であれば3行作文から始めます。
 聞く力であれば、ことわざや格言の聴写や短い話の聞き取り問題から始めます。
 読書であれば、7分間読書や、読み聞かせから始めます。
 このように、易しいことからスモールステップで取り組みましょう。

スキル2毎日行う

 45分1回の活動よりも、5分×9回の活動の方が定着します。
 話すこと・聞くこと・書くこと・読むこと・言語事項の全てに毎日取り組むことは時間的に難しいです。二週間を区切りにして、今週と来週はスピーチ、次の二週間は漢字、次の二週間は作文…等、学習している単元との兼ね合いを考え、重点的に取り組むようにします。
 習慣化できると効率的になり学習効果も高まります。「今月の国語の最初は漢字でスタート」というように、学習を始めるタイミングを固定すると習慣化しやすくなります。

スキル3ふりかえりを行う

 友だち同士でアドバイスしあう。すぐに丸付けをして、間違えたところはその場で覚える。記録表をつける。学んだことをノートに書く。次回のめあてを考える――等、ふりかえりの機会を設定します。
 ふりかえりを行うことで成長を実感できたり、新たな課題ができたりして、次への意欲につながります。

例

成功に導くポイント
  • 「先人から学ぶ」⇒自分で考えることも大切ですが、本やセミナーで学ぶことも大切です。
  • 「チームで取り組む」⇒仲間がいると成功体験やつまずきを情報交流できます。同じ学校の先生と取り組めるといいですね。
  • 「ゴールイメージをもつ」⇒目指す姿があると現状とのギャップから手立てを考えられるようになります。様々な授業を参観させてもらいましょう。

長瀬:山田先生ありがとうございました。次回は道徳のとっておきスキルを中嶋郁雄先生にご紹介いただきます。どうぞお楽しみに。

山田 将由やまだ まさよし

神奈川県公立小学校勤務。模擬授業全国大会にて2度の優勝。ミニネタ、徹底反復、ワークショップ型授業、コーチング、脳科学を取り入れた授業づくり・学級づくりを研究。一流の教育者に学び、簡単で効果のある楽しい教育メソッドを日々深めている。編書に、『学級経営・授業に生かす!教師のための「マネジメント」』(明治図書)『トップ1割の教師が知っている「できるクラス」の育て方 (○×イラストでわかる! )』(学陽書房)がある。

長瀬 拓也ながせ たくや

1981年岐阜県生まれ。小学校教諭。専門は、学級組織論、教育方法学、社会科教育。新米先生応援メールマガジンも発行中(http://www.mag2.com/m/0000290422.html)。主な著書に『新版 若い教師のための読書術』(学事出版)、『教師のための時間術』『誰でもうまくいく!普段の楽しい社会科授業のつくり方』(黎明書房)、『学級経営・授業に生かす!教師のための「マネジメント」』『THE学級マネジメント』(明治図書、編著)『THE教師力〜若手教師編〜』(明治図書、共著)『ゼロから学べる学級経営―若い教師のためのクラスづくり入門―』『ゼロから学べる授業づくり―若い教師のための授業デザイン入門―』(明治図書)、最新刊に『ゼロから学べる生徒指導―若い教師のための子ども理解入門―』(明治図書、編著)などがある。

(構成:林)
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