きょういくじん会議
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統計ソフトの活用で「資料の活用」の授業の効率化を!
kyoikujin
2010/12/27 掲載

 新教育課程への移行期間2年目の中学校数学科では、昨年1学年でスタートした「資料の散らばりと代表値」に続き、3学年で「標本調査」の指導が間もなく始まり、本格的に統計についての学習指導が行われることになります。今回は、新しい統計指導のポイントの一つであるICTの活用に関連して、授業で役に立つ統計ソフトをご紹介します。

ICT活用がカギになる統計の学習指導

 新領域「資料の活用」を設けて改めて中学校数学科で指導されることになった統計。とはいえ、「資料の散らばりと代表値」「標本調査」とも指導時間は他単元に比べて決して多くはありません。そこでポイントとなるのが、ICTの活用です。学習指導要領の解説には、「コンピュータなどを利用して作業の効率化を図り,処理した結果を基に資料の傾向を読み取ることに重点を置いて指導できるようにする」とあり、学習指導要領の本文(内容)にも「コンピュータを用いたりするなどして」と明記さました。
 しかし、市販の表計算ソフトなどの中には、中学生では使いこなせないような機能を備えたものなどもあり、生徒の実態を見極めながら慎重にソフトを選ぶ必要があります。このような状況に鑑み、中学校の統計学習で使用することを念頭において開発されたのが、以下にご紹介する3つの統計ソフトです。

シンプルさが売りのヒストグラム作成ソフト「SimpleHist」

 ヒストグラムの作成を円滑に行うことを目的に宮崎大学の藤井良宜教授が開発したのがこの「SimpleHist」です。その名の通りヒストグラムの作成に特化したシンプルさが好評を博し、2009年5月から今月までのソフトのダウンロード回数は5000回に達しています。また、藤井教授のホームページには、SimpleHistを使用した学習指導案や、箱ひげ図に関するソフトの試作版なども公開されています。

web上で操作でき、使い勝手がよい「stathist」

 静岡大学の松元新一郎准教授が作成した「stathist」は、複数のグラフを重ねて表示することができ、グラフだけでなく、元データや度数分布表などを印刷することもできます。また、ダウンロードせずにweb上(動作環境Flash Player 9 以上)で操作できるため、ソフトのダウンロードが制限されている学校でも使用でき、生徒が自宅で使うことなども可能です。

意外に難しい乱数の発生を手軽にできるiPhoneアプリ「シンプル乱数」

 筑波大学附属中学校の北島茂樹教諭が開発したiPhone(iPod touch、iPad)アプリ「シンプル乱数」は、標本調査の授業において、乱数を発生させることができるソフトで、範囲を入力して、画面をタップするだけで乱数が発生します。「『生徒が実際に標本調査を行う授業』をしたことがある先生ならば、一度は経験したであろうことが1つあります。それは教室で乱数を生成することは意外に難しいということです。教科書に簡単に書いてある『無作為に選ぶ』行為は、実際にはそれほど簡単ではないのです」と語る北島先生。パソコンではなく、携帯電話という持ち運びが容易な端末であることも魅力の1つと言えそうです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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