きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
カツ丼とサックス四重奏?! 出前授業にオススメ「カルテットスピリタス」
kyoikujin
2010/12/22 掲載
Scene

 「カツ丼」「サクソフォン」というまったく接点のなさそうな二つの組み合わせ。いったい何の話題か、と思われたかもしれない。

 先日、会社帰りに立ち寄ったオフィスビルの入り口で、サクソフォンのロビーコンサートをやっていた。演奏していたのは、「カルテットスピリタス」というサクソフォン四重奏のグループ。軽快なテクニックとトークに思わず立ちどまってしまった。

♪「カツ丼」で音楽が見えてくる!♪
 この日のコンサートは、演奏だけではなく、楽器の紹介や音楽の仕組みの解説など簡単なレクチャーも盛り込まれていたのだが、そのプログラムの中にあったのが、題して「音楽のレストラン」。ここで「カツ丼」が登場するのだ。
 簡単に説明しよう。複数の楽器で一つの曲を演奏する時、各パートは、メロディーや伴奏、合いの手など、それぞれが役割をもっている。それを、カツ丼のご飯、肉、玉子、タマネギに例えて説明するのだ。「大きな栗の木の下で」をテーマに各パートが演奏すると、ベースとなるご飯の存在、カツ丼をカツ丼たらしめる肉の存在など、各具材の持ち味がそのまま各パートの役割と結びつけられており、様々な要素が一緒になって、一つのカツ丼(曲)になっている、ということが納得できる。
 その他にも、森のくまさんを、日本風、アメリカ風、中国風など、世界の国の音楽の特徴を取り入れてアレンジしたり、と、単なる演奏会とは違って音楽を面白く理解できるような工夫がちりばめられており、思わず1時間の寄り道となってしまった。

♪音楽の出前授業をしてみよう♪
 カルテットスピリタスのメンバーの話によると、芸術啓蒙活動も、彼らの仕事の一部として積極的に取り組んでいるとのこと。しばしば、全国各地の小学校に出向いて出張演奏もしており、先月の11日には、宮城県の平沢小学校、永野小学校において鑑賞会が開かれた。たしかに、このメニューなら子どもたちもグングン引き込まれるだろう。

 ところで、学校にプロの演奏家を招き、子どもたちに生の演奏を聴く機会を設けることはよくあるが、いったいどのようにして依頼や開催を実現させるのだろうか。ということで、このカルテットスピリタスもアーティストとして登録されている、財団法人地域創造という団体を紹介しよう。

 (財)地域創造は、文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりを目的として活動している団体で、その活動の一つとして、全国各地の公共施設や学校にプロのアーティストを派遣し、音楽を通して地域の人々と交流を図るための支援活動を行っている。要綱によれば、市区町村等が申し込むと、(財)地域創造がアーティストの派遣経費(要綱に定める額)を負担して、登録されているアーティストを派遣してくれるという仕組み。開催のための研修やコーディネーターの派遣も行っているようだ。

 プロの演奏家による生の音楽を聴くのは、子どもたちにとって貴重な体験。演奏だけでなく、楽しく楽器や音楽の仕組みが学べれば一石二鳥。音楽に興味をもつ子どももグンと増えるだろう。ぜひ、みなさんの学校でも「カツ丼」の出前は如何?

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。