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内定率9割! 夢をかなえる高等特別支援学校の進路指導
kyoikujin
2010/3/23 掲載

 5日の 産経新聞の記事によると

知的障害のある生徒が通う大阪府立たまがわ高等支援学校(東大阪市)で今春卒業予定の就職希望者のうち、約9割の生徒の就職が内定した

という。
 2月23日に文部科学省より公表された 「平成22年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(平成21年12月末現在)に関する調査について」によると、高等学校卒業予定者の内定率が74.8%(男子79.7%、女子68.5%)となっており、たまがわ高等支援学校の就職率が驚異的であることがわかるだろう。

特別支援学校の進路指導

 新学習指導要領においても引き続き「生きる力」を育む教育の大切さが示されているが、特に特別支援学校では、障害のある子に卒業後に社会で生きていく力をつけることを何よりも重視しており、特別支援学校高等部・高等特別支援学校(高等部のみの特別支援学校・主に軽度知的障害の子が通う)ともなると、進路・就労指導に重きが置かれている。
  大阪府立たまがわ高等支援学校も、一般教科のほかに「ものづくり科」「福祉・園芸科」「流通・サービス科」といった職業に関する専門教科をもうけ、半分近い時間を割いて指導がなされるている。そして、学校内に充実した実習施設を持つほかに学校外で年2回の見学・実習を行う力の入れようだ。
 このような特別支援学校は、 東京都立永福学園(平成19年4月開校)、 東京都立青峰学園(平成21年4月開校)、 東京都立南大沢学園(平成22年4月開校予定)と続々と作られ、ビルクリーニング、エコロジーサービス、食品、福祉というような職業コースを設定した具体的な進路・就労指導が人気をよんでいる。

夢をかなえる進路指導

 これら特別支援学校で行われている指導の特徴はとにもかくも具体的であることだ。抽象的な事柄を学ぶことよりも経験を通して学ぶことが得意な知的障害のある子どもたちへの配慮のあらわれでもあるが、実習作業を通して、「自分はこの仕事が好きか、向いているか」とせまることは、やりがいのある希望の仕事みつけにつながり、離職率も低下させる。

 近年、キャリア教育の流れの中で、通常の中学校においても「職場体験」など具体的な活動を通して勤労意識を高める試みがなされているが、高い就職率をたたきだしている特別支援学校の取り組みからもさらに、学べるものがあるかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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