きょういくじん会議
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児童虐待と子どもの防犯―解決の鍵は?
kyoikujin
2010/3/18 掲載
児童虐待 父・母・子へのケアマニュアル〜東京方式

 3日の産経新聞の記事では、奈良県で5歳児が食事を与えられないなどの児童虐待により死亡したとの悲しいニュースが伝えられていました。同じように埼玉県でも4歳児童が食事を与えられずに栄養失調と急性脳症でなくなったというニュースも4日の産経新聞では報じられていました。このきょういくじん会議でも何度か取り上げられている児童虐待による事件。ニュースの影にどんな事情があるのかは読み取れませんが、弱い子どもたちを虐待するという行為は、許されないことだと思います。

 厚生労働省の発表(PDF)によりますと、平成20年度の児童虐待相談対応件数は42,662件で、調査を開始した平成2年度以降18年連続で増加しているということです。これは単に虐待件数が増加しているという悲しい現状の報告とも捕らえられる一方で、事件がメディアで取り上げられる件数が増えているため、周囲の人や学校等が関連機関に通報している件数が増えたと言えるのではないかと思いました。

 今までは、ほんの一部の親が起こしている事件と思っていた方でも、周りを見渡すと「もしかして?」と思い始めたり、気が付かないふりをしていたが、自分が行動を起こせば小さな命を救うことができるかもしれないと思うようになったからかもしれません。

 今回のような死亡に至るケースではなくても、ネグレストや性的虐待など、子どもの心を切り刻むような虐待も存在することは嘆かわしいことです。また、本来は一番の心の拠り所であるはずの実の親から虐待されるケースも多く、たとえ今回のような死に至る事件にはならなくても、被害にあっている子どもたちの心の傷の深さは計り知れません。

 また、2月22日の産経新聞には、新一年生をもつ親の子どもに対する不安は、「友達とのかかわり方」、「勉強習慣のつけ方」を抑えて「犯罪や事件に巻き込まれること」が一位だったというアンケート調査が載っていました。共働き夫婦も増えているので、学校から帰ってからの子どもをずっと見守ることができないということも大きく影響しているように思いますが、周りに信頼できる施設がない、親類・知人がいないということもあるように思います。

 まったく関係ないように見える二つの報道ですが、児童虐待と子どもの防犯、この二つを解決できる鍵は、周囲の援助なのではないでしょうか。地域が連携して子どもを見守ること、そして親の相談にも乗ってあげられるような人間関係を作れる環境が、解決の鍵になるのではないかと思いました。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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