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世界に認められた「安全教育」―池田小がISS取得
kyoikujin
2010/3/19 掲載
いのちの教育

 5日の読売新聞の記事によると、大阪教育大学附属池田小学校が、WHOから日本で初めて、インターナショナル・セーフ・スクール(ISS)を取得したとのこと。ISSとは、安全な学校づくりに、長年にわたって、学校全体で努力しています、という国際的なお墨付きといったところでしょうか。

世界のISS取得校

 現在ISSを取得している学校は、世界で32校。International Safe Schoolsのホームページに掲載されている、実際にISSを取得している学校を見ていくと、主にアジアやヨーロッパの国々が取得しているようです。その中でも飛びぬけて目立っているのが台湾で、全体の半分程度。人口が多いわけでもなく、比較的安全なイメージのある台湾がこれだけ多い、というのは少々意外な気がしますが、それだけ学校では防犯に対する意識が高いということなのかもしれません。

池田小学校の安全教育

 池田小学校で2001年6月8日に起き、8人の死者を出した児童殺傷事件は、当時とても衝撃的な事件でした。あの事件からもう9年近くが過ぎているのかという驚きと同時に、今回ISSを取得されるまでに安全への取り組みを続けてこられた池田小学校の先生方や、そうした活動を応援してきたであろう地域の方々には頭が下がります。

 実際の取り組みは多岐にわたり、年数回に及ぶ教職員の不審者対策訓練、児童自身が危険に対する意識を持つための持続的な授業。ほかにも、見晴らしなど安全面を考慮した校舎の改築、08年4月18日の記事でも取り上げた、児童の上履きにICタグをつけて子ども達の位置を確認するという取り組み、緊急時には保護者の携帯電話へメールを送る連絡システムなど、ハード面で安全性を確保する活動も、今回の認証に一役買っていそうです。

 ISSの認証を受ける前から掲載されている文章ですが、池田小学校のホームページには、ISS認証を目指す意義として、次のことが記されています。

ISS認証の申請に向けた活動が、本校の安全教育を体系的に整理し、持続的で、かつ有効に機能する組織運営を可能にすると考えます。 本校の取り組みがISS認証を受けると、日本で初めての認証校となります。そうしたことからも、安全教育の必要性と意義を全国学校園へ発信し、子どもたちにとって安全で安心な学校づくりを継続的に目指します。

 ここに挙げられている理念の通り、今回の池田小学校のISS取得は、あらためて全国の学校関係者などの意識を、安全教育へ向けさせるいい機会となったのではないでしょうか。安全を脅かすような事件が起きないためにどうするか、万が一起きてしまったときにどう対処するのが最善なのか。今一度、多くの人に考えてみてほしいと思います。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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