きょういくじん会議
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私たちにできることは? 世界の貧困を考える
kyoikujin
2009/10/20 掲載
人と経済の世界地図 社会・環境政策から開発支援まで

 「アフリカなどの貧しい国では、日本では考えられないような病気で今も多くの子どもたちが亡くなっています。何の病気でしょう?」―私が中学生の頃、学校の先生に出された問題です。皆さんは、答えがわかりますか?
 正解は「下痢」。公衆衛生の発達した日本ではあまり考えられないことですが、貧困に苦しむアフリカの国々では、乳幼児の死亡原因の17%が感染性の下痢によるものだという報告もあります。
 西半球の最貧国と言われるカリブ海の小さな国、ハイチ共和国も例外ではなく、こうした貧困国の現状を知ってもらおうと、1冊の絵本が発刊されました。

貧困国の現状を知る

 17日の産経新聞の記事によると、NGO「ハイチ友の会」によって発刊されたこの絵本は、子どもたちに衛生に関する知識を持ってもらうためのお話『手を洗おう』と、子どもたちに生きる喜びや成長する意味を考えてもらう『げんきのもと』の2本立て。日本語とハイチの公用語で書かれており、日本国内やハイチでの紙芝居で好評だったこの2作品を収録しているそうです。知ることは考えることの第一歩。ハイチの情報や写真も掲載されており、日本の子どもたちにとっても、ハイチという国のことや、世界の貧困の現状に触れるのによいきっかけとなるのではないでしょうか。

私たちにできることって?

 しかし、世界の貧困について知って、何か力になりたいと思っても、私たちが個人単位でできることには限りがあるかもしれません。すぐにそれらの国へ行って医療に従事できるわけでもないし、寄付や募金もどこにしたらいいのかわからないし…と、実際に行動するには敷居が高く感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。
 普段何気なく行っている「生活に必要なモノを選ぶ」ということを通して貧困に悩んでいる国に貢献する、そういった取り組みが盛んになってきています。

フェアトレードの広がり

 フェアトレードという言葉を聞いたことのある方も少なくはないのではないでしょうか。発展途上国の生産者がその土地にあるものや技術を使って作った衣類・日用品・食料品を、一般の貿易とは違って、あいだに多くの会社を挟まずに透明性を保ったまま消費者のもとへ届ける貿易のしくみです。従来の貿易より生産者の得られる利益が大きくなり、他国からの寄付や経済支援に頼らずに、その国の産業の自立を促すことにつながると考えられています。
 近年日本でも、エコ意識の高まりから急速な広がりをみせており、スーパー、百貨店、コーヒーショップなどフェアトレード商品を扱っているお店も増えてきています。商品の質にこだわり、「発展途上国と先進国」という関係を抜きにしても通用する対等な取引を追及している企業も出てきているようで、一消費者としても楽しみな展開になってきました。
 何気ない日常の買い物でも、親子で海の向こうの国々に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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