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「ウェルビーイング」は直訳すると「健康」となります。しかし、「幸福」とか「幸せ」と翻訳されることが多いです。つまり「身体的・精神的・社会的な面で全てが良好な状態にあること」を意味するのですね。身体が健康であるということにとどまらず、自己実現ができる環境が整っていることや、自律的に仕事に取り組めることなども含まれることになります。社会全体で、働き方改革の取り組みが進む中で、「ウェルビーイング」という言葉に注目が集まるようになりました。
まず、学校で働く職員です。第1章は、職員のウェルビーイングを実現するために行った「教頭の日々の取り組み」について、第2章は「教頭の年間を通した取り組み」についてまとめています。
次に、学校で過ごす子どもたちです。第3章には、子どもたちのウェルビーイングを実現するために管理職とミドルリーダーが協力して進めた「子ども主体の新たな学びの実現に向けた取り組み」についてまとめています。
さらに、学校をよりよくしようと考えてくださっている保護者や地域の方々です。第4章は「PTA改革」と「望ましい学校と地域のつながりの実現」について述べています。
最後に自分自身です。第5章は「教頭としてのウェルビーイングを実現するために心掛けていること」についてまとめました。
はい。それでは、1日を始めるにあたっての「仕事ルール1 校内を巡視し、変化にいち早く気付く」について紹介します。
朝、出勤し、タイムカードをカードリーダーに通したら、門や校舎の会場と学校施設の点検からスタートします。
「門をスムーズに開けることができるか」
「手洗いやトイレから異音はしないか」
「雨漏りがしていた天井の修繕箇所は、その後大丈夫だろうか」
など、校内を点検しながら異常の有無を確認していきます。職員が気持ちよく朝のスタートを切ることができるようにするための、大切な仕事の一つと自覚して続けていた「教頭時代の仕事ルール」の一つです。
この4月から校長になりました。学校運営に対する責任の重さをひしひしと感じています。「ウェルビーイングを実現する社会の担い手」となるように、子どもたちの力を伸ばしていきたいと考えています。
一人一人が感じるウェルビーイングは違います。それぞれのウェルビーイングを大切にすることができるように、互いの思いや考えを認め合い、その実現に向けて協働することができるような学校づくりを進めたいと考えています。簡単ではありませんが、その第一歩として、子ども、教職員、保護者、地域の方々を巻き込んで、学校のグランドデザインを描くことができればと思っています。
今回、執筆した『ウェルビーイングを実現する「スクールリーダー」の仕事ルール』には、教頭として過ごした5年間で、学校に関わる全ての人のウェルビーイングを実現するために大切にしてきたことを、50のルールとしてまとめました。少しでも、みなさんの考えるウェルビーイングの実現のお役に立てるとしたら、こんなにうれしいことはありません。ウェルビーイングの実現のために、共に頑張りましょう。