- 著者インタビュー
- 授業全般
やはり「特別」なのだと思います。それは、2年生以上と違い、小学校の指導の当たり前が通じないからです。文字も書けず、小学校のルールも分からない。そこにあるのは「unusual(普通ではない)」といった特別感です。
そんな1年生ですが、それまでの学びを知り、Play型(本書で提唱している「遊び」と「学び」をつなぐ授業の型)のような1年生ならではの授業の型を知ることで、子どもたちの学びは躍動し、輝きます。そうすると、授業をすることが楽しくて仕方なくなります。そんな「special」という意味での特別感を、1年生を担任する先生方にはぜひ味わってほしいと思います。
小学校に入ると休み時間と授業時間の区切りによって、「遊び」と「学び」が分けられてしまいます。ですが、園での学びは、遊びが中心の総合的な学びです。遊びながらたくさんのことを学んでいます。小学校に入学したからといって、子供たちがいきなり変わるわけではありません。だからこそ、「つなぐ、積み重ねる」ために、1年生でも遊び(活動)の中で教科の学びが深まることが大切だと思います。そういった意味でもスタカリは、幼児期の遊び(Play)と小学校期のPlay型授業をつなぐ大切なポイントだといえます。
1年生は自由奔放な存在ですし、それでいいと思っています。遊びながら学ぶのですから。子供たちに自由でいてほしい。そう願うからこそ、教師はその場で手を打つのでなく、策を講じたり環境を構成したりするといった事前準備が必要になります。教室レイアウトもそのうちの一つです。また、本書では小1担任必携の7つ道具も紹介しています。どちらも「安心・安全」「楽しくなる」「学びが深まる」という視点で選んでいますので、ぜひぜひご活用ください。
小1の授業でのお悩みポイントとしてあるのが、子供たちの個人差ではないでしょうか。私も「どうしよう……」と悩んだのを覚えています。ある子は平仮名をスラスラ書けるのに、ある子は読むこともできない。ある子はもう10問終わったのに、ある子はまだ1問目で悩んでいる。そんなお悩みを解決するためには、教師も頭を柔らかくして指導する必要があります。「絵や音声など文字以外の表現も認める」「最初は教師が代筆する」「質と量の両方を求めるのでなく、量はチャレンジ制にする」などそんな工夫をしてみてはどうでしょうか。解決の糸口はいつだって「この子にとってのベストは?」と自分に問いかけることから始まるように思います。
小1担任は特別です。私も初めて小1担任になっとき、その特別感に悩みました。ですが、幼児期とのつながりを生かした授業を行うことで、次第に授業が楽しくなっていきました。そして、これまで自分が思っていた学習観や小学校観がよい意味で更新されました。当たり前に立ち向かい、挑戦する限り、学びはどこまでも広がるし、教師でさえもワクワクドキドキできるものになっていきます。
本書はそんな思いや願いを詰め込み、Play型授業という具体的な方法として提案しています。本書が先生方、そして子供たちの笑顔に少しでもつながればとても嬉しいです。
ぜひ、1年生と一緒に授業を楽しみ、ハッピーな毎日を過ごしてください!