著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
小学1年生の「ワクワク」を生かした授業をしよう!
東京都公立小学校安藤 浩太
2022/3/25 掲載

安藤 浩太あんどう こうた

1989年8月、鹿児島県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、東京都公立小学校に勤務。日本国語教育学会会員。全国大学国語教育学会会員。日本生活科・総合的学習教育学会会員。国語教育研究会「創造国語」所属。教育サークル「KYOSO’s」所属。生活・総合学習教育サークル「ふりこの会」共同主宰。国語科教育と生活科教育を中心とした低学年教育を実践や研究の主なフィールドとしている。

―安藤先生は、これまで低学年の担任をされることが多かったと伺っております。なかでも、1年生担任というのは特別なのですか?

 やはり「特別」なのだと思います。それは、2年生以上と違い、小学校の指導の当たり前が通じないからです。文字も書けず、小学校のルールも分からない。そこにあるのは「unusual(普通ではない)」といった特別感です。
 そんな1年生ですが、それまでの学びを知り、Play型(本書で提唱している「遊び」と「学び」をつなぐ授業の型)のような1年生ならではの授業の型を知ることで、子どもたちの学びは躍動し、輝きます。そうすると、授業をすることが楽しくて仕方なくなります。そんな「special」という意味での特別感を、1年生を担任する先生方にはぜひ味わってほしいと思います。

―巻頭には、「小1学びの地図」という、見開きの大きな一枚絵が載っています。学びの様子を川に見立てている、とありますが、まさに「遊び」と「学び」が一体化しているのですね!

 小学校に入ると休み時間と授業時間の区切りによって、「遊び」と「学び」が分けられてしまいます。ですが、園での学びは、遊びが中心の総合的な学びです。遊びながらたくさんのことを学んでいます。小学校に入学したからといって、子供たちがいきなり変わるわけではありません。だからこそ、「つなぐ、積み重ねる」ために、1年生でも遊び(活動)の中で教科の学びが深まることが大切だと思います。そういった意味でもスタカリは、幼児期の遊び(Play)と小学校期のPlay型授業をつなぐ大切なポイントだといえます。

―本文中では、教室環境についても具体的なイラストとともに示してくださっています。これはすぐに取り入れられそうですね。

 1年生は自由奔放な存在ですし、それでいいと思っています。遊びながら学ぶのですから。子供たちに自由でいてほしい。そう願うからこそ、教師はその場で手を打つのでなく、策を講じたり環境を構成したりするといった事前準備が必要になります。教室レイアウトもそのうちの一つです。また、本書では小1担任必携の7つ道具も紹介しています。どちらも「安心・安全」「楽しくなる」「学びが深まる」という視点で選んでいますので、ぜひぜひご活用ください。

―最後の章では、小1担任のつまずきあるあるが掲載されています。実際に、先生が小1担任をされて困ったエピソードなどがあれば教えてください。

 小1の授業でのお悩みポイントとしてあるのが、子供たちの個人差ではないでしょうか。私も「どうしよう……」と悩んだのを覚えています。ある子は平仮名をスラスラ書けるのに、ある子は読むこともできない。ある子はもう10問終わったのに、ある子はまだ1問目で悩んでいる。そんなお悩みを解決するためには、教師も頭を柔らかくして指導する必要があります。「絵や音声など文字以外の表現も認める」「最初は教師が代筆する」「質と量の両方を求めるのでなく、量はチャレンジ制にする」などそんな工夫をしてみてはどうでしょうか。解決の糸口はいつだって「この子にとってのベストは?」と自分に問いかけることから始まるように思います。

―最後に、新年度、小1担任になるかもしれない読者の先生方に向けてメッセージをお願いします!

 小1担任は特別です。私も初めて小1担任になっとき、その特別感に悩みました。ですが、幼児期とのつながりを生かした授業を行うことで、次第に授業が楽しくなっていきました。そして、これまで自分が思っていた学習観や小学校観がよい意味で更新されました。当たり前に立ち向かい、挑戦する限り、学びはどこまでも広がるし、教師でさえもワクワクドキドキできるものになっていきます
 本書はそんな思いや願いを詰め込み、Play型授業という具体的な方法として提案しています。本書が先生方、そして子供たちの笑顔に少しでもつながればとても嬉しいです。
 ぜひ、1年生と一緒に授業を楽しみ、ハッピーな毎日を過ごしてください!

(構成:林)

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