著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級・授業を「より良く」するアレンジを!
宮城県公立小学校鈴木優太
2022/1/14 掲載

鈴木 優太すずき ゆうた

1985年宮城県生まれ。宮城県公立小学校教諭。『縁太会(えんたかい)』を主宰。著書に『教室ギア55』(東洋館出版社)、共著書に『1年間まるっとおまかせ!小学1・2年担任のための学級あそび大事典』、『〈ロケットスタートシリーズ〉小学校学級づくり&授業づくり Plus GIGAスクール』(以上、明治図書出版)、『リフレクションを学ぶ!リフレクションで学ぶ!』、『「学び合い」が機能する学級経営』(以上,学事出版)など多数。『授業力&学級経営力』(明治図書出版)での「教室Reデザイン」「クラスがまとまる!笑顔が広がる!今月の学級経営ネタ」の連載や、『教育技術』(小学館)、『授業づくりネットワーク』(学事出版)などの教育雑誌に執筆多数。

―『「日常アレンジ」大全』というタイトルの本書ですが、鈴木先生の考える「アレンジ」の極意とは、ずばり何でしょうか?

 「より良くするため!」

 という「目的」を見失わないことです。

 子どもたちと一緒になってトライ&エラー&リトライできるところが、私たちの仕事が創造的でおもしろい所以です。「アレンジ」の4文字には、教師の醍醐味が詰まっています。
 日常のささやかなことが

 「本当にこれで良いのかな?」

 と気になったらビッグチャンスと考えています。

―実に88のアレンジネタが載っていますが、その中でも、先生が実施されて特に効果が大きかったネタはありますか?

 「軍隊みたいに整列することってどんな意味があるのかなぁ…」

と、悩んでいました。

 「まえへーならえ!」という音声情報ではなく、視覚情報のボディサインを子どもたちが活用する『無言整列』を知りました。 

 1 先頭が手をパーにして挙げたら「無言」で前へならえをする
 2 最後尾は整列ができたらOKのボディサインを出す
 3 先頭がOKのボディサインに変えたら前から順に体育座りで座る

 教室移動や朝会、避難訓練や校外学習など…学校の集団生活の中では、整列する機会がたくさんあります。『無言整列』を知っている子どもたちは、「自分たちで・静かに・素早く」整列できます。 
 前任校で学年を組んだ主任の先生に教えていただき、集団をコントロールする教師のためのテクニックだとばかり思っていました。しかし、続けていくと、教師の指示が無くても子どもたちがアイコンタクトで行動できる集団へと育っていったのです。目で見て自ら情報を掴み取るノンバーバルコミュニケーションが子どもたちの「主体性」を伸ばしていったのかもしれない、と思うようになりました。

 「自治的集団へのはじめの一歩」と考えられるようになったら、整列もおもしろくなりました、私は。

 若い先生方に紹介すると、教師に「させられる」整列を脱却した子どもたちは、日常の生活や学習での行動もみるみる変わっていったんです。そうした点から、効果が大きいアレンジネタの一つです。

 教師のためだけではなく、このような子どもたちが主体となった日常のためのアレンジの“肝”を引っ張り出して活用していってほしいです。

―本書は大きく分けて「学級経営」にかかわるネタ、「授業づくり」にかかわるネタに分かれますが、それぞれのアレンジのやりがいはどんなところにあるのでしょうか?

 学級経営においても、授業づくりにおいても、やりがいは共通します。

 子どもたちの「成長」です。

 「より良くするため!」というアレンジの「目的」はこれです。
 そして、子どもたちと一緒に私たち教師「も」成長できるおもしろさ「も」欠かせません。なりたくてなった教職の営みを、私たちはもっとおもしろがって良いのではないでしょうか。本書が、そのヒントになれば幸いです。

―いざ実践を試みても、「うまくいかない」と感じてしまうこともあると思います。そんなとき、先生ならどのように再チャレンジしていますか?

 インプロ(即興演劇)創始者の一人キース・ジョンストンは、

「どんなことでも5000回やると上手になる」

 と言います(リフレクションを学ぶ中で影響を受けた東京学芸大学の高尾隆先生に教えていただきました)。「即興」を生業とするインプロの創始者でさえ、「5000回」という「数」を求めることに私は衝撃を受けました。

 「5000回には…まだ、まだまだ!」

 そう思えると、「リトライ」の心持ちがむくむく湧いてきませんか。

―最後に、全国の読者の先生方に一言メッセージをお願いいたします。

 私は、経験を重ねるごとに、教師の仕事がどんどんおもしろくなっている実感があります。本書に記した「88」の実践を試みる中から、「アレンジ」の“肝”を引っ張り出すことができれば、子どもたちも私たちも、日常を一層豊かなものにできると信じています。
 この本をきっかけとして、全国で実践されている先生方との交流や学びの場を持てることを幸せに思います。

(構成:大江)
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