著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
発問&板書を変えて「考え、議論する」道徳をはじめよう!
筑波大学附属小学校加藤 宣行
2018/2/27 掲載
今回は加藤宣行先生に、新刊『加藤宣行の道徳授業 考え、議論する道徳に変える発問&板書の鉄則45』について伺いました。

加藤 宣行かとう のぶゆき

筑波大学附属小学校教諭、筑波大学・淑徳大学講師。
スタントマン、スポーツインストラクター、公立小学校教諭を経て現職。
日本道徳基礎教育学会事務局長
KTO道徳授業研究会代表
光文書院「ゆたかな心」監修

―本書は『考え、議論する道徳に変える指導の鉄則50』に続くシリーズです。前著との違いを教えてください。

 前著が全体像を俯瞰的に捉える内容とすれば、本書はそのひとつひとつの内容をさらに具体的に詳しく書いたものです。読者の皆様のリクエストを受け、基本的なものは押さえつつ、発問と板書に特化してあります。

―本書には、子どもが主体的に考え出すような発問の鉄則が詰まっています。「知的好奇心をそそる発問」「一般常識をひっくり返す発問」など、とても興味深いのですが、先生は、そのような発問をどのように構想されているのですか?

 授業は、何と言っても発問が命です。同じ教材でも発問が違えば展開は全く変わります。子どもたちがはっとして、改めて考え直す作業を始めるためには、「知っているつもり」の概念崩しをしてやる必要があります。そのための発問ですから、私自身が常に既成事項に対して、よい意味でのクリティカルシンキングを行っています。「それって本当なのかな」「全く違う考え方もできそうだぞ」と、哲学すると言ってもよいでしょう。

―本書で紹介されている板書は、とても構造的なものが多いと感じます。板書を構造化させるためのコツを教えてください。

 ズバリ、図式化することです。図式化することによって、前後のつながりや全体像が見えてきます。それを行うことで、教材解釈も進みますし、展開も見えてきます。
 後は、本質論で考えるということです。教材の中に書かれている行為行動と、それを生む心とを結びつけていきます。行為行動を生む心は教材に書いていないので、板書を通して子どもたちと一緒に見つけていくという作業を行います。

―ところで、4月から「特別の教科 道徳」が全面実施となります。教科書や評価が話題になっていますが、どのような点に気を付けて実践していけばよいのでしょうか?

 これは文部科学省も言っていますが、「〜ねばならない」としないことでしょう。教科書を使わなければいけない、評価をしなければならない、という発想ではなく、子どもたちのよりよい道徳性の育成のためにできることは何かを最優先にして、教科書や評価をどのように活用するかを考えていきましょう。目の前の子どもたちに応じた、弾力性のある授業を目指しましょう。決して、評価のための評価にならないように。

―最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

 教師に向かって「正答」を答えるような授業をしていては、「主体的に学ぶ・対話的に学ぶ・深く学ぶ」ための必要な能力は育ちません。大切なことは、「学ぶ」こと「育つ」こと「生きる」ことなどについて、教師がしっかりとした哲学をもつことです。教師がそれらについての自信をもつことによって、他者と共に未来の社会を創造していくことのできる、いわば「生きる力」のある人間を育てることができるのです。本書を教師が自らの哲学を形成するための糧としてください。

(構成:茅野)
コメントの受付は終了しました。