著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
4月の失敗は取り戻せない!
〜4月で学級がうまくいくかどうか?100%決まる〜
中村 健一
2018/2/2 掲載
今回は中村健一先生に新刊『策略―ブラック学級開き 規律と秩序を仕込む漆黒の三日間』について伺いました。

中村 健一なかむら けんいち

1970年,父・奉文,母・なつ枝の長男として生まれる。
名前の由来は,健康第一。名前負けして胃腸が弱い。
酒税における高額納税者である。
キャッチコピーは「日本一のお笑い教師」。「笑い」と「フォロー」をいかした教育実践を行っている。しかし,この『ブラックシリーズ』でその真の姿,「腹黒」をカミングアウト。

―中村先生、背景がピンク。さすが今回は学級開きがテーマ。サクラをしょってらっしゃるイメージでしょうか? でも…顔が…コワいです。なんかおかしいですよ。年度はじめ、学級開きの時期というのは、顔がこわばっちゃうような、魔物がすくう時期なのでしょうか?

学級づくりは、4月が全てですからね。

4月の1ヶ月で、その学級が1年間うまくいくかどうか?
100%決まってしまいます。

 私は厳しい学校現場で四半世紀、25年も生き抜いて来ました。それでも、今年もうまくいくなんて保証は全くない。
 だから、4月の学級づくりに全力で死ぬ気で取り組むのです。私は毎年4月、体重が3s以上は減りますから。そのぐらい、しんどい思いをしてでも、学級づくりをやりきります。
 「全力で死ぬ気で」と言っても、その場で思いつきの学級づくりをしても、うまくはいきません。4月の学級づくりをうまくやるためには、やはり「策略」が必要なんです。

―4月おそるべし。…そんな新学期が刻々と近づいておりますが…先生は本書では「1年を生き抜くための30日ブラックプラン」として時期ごとのプランを紹介くださっていますね。このプラン中のキモ(肝)は何でしょうか?コレというものがあれば教えてください。

キモ…は全部ですね(笑)どれか1つをやれば、学級がうまくいくというものではありません。

「0」で子どものウソにぶれない自分をつくる。
「1」で子どもを教師の虜にしてしまう。
「3」で学級に秩序をもたらし、子どもを安心させる。
「7」で1日に必要なルールを全て教えてしまう。
「30」でルールを徹底し、当たり前にしてしまう。

 学級づくりは「点」ではありません。こういう「線(流れ)」をきちんと意識して「策略」的に行うことが必要なんです。

―ふむふむ。キモは線の策略ということでしょうか。策略も複雑に張り巡らされているカンジがしますね。今回、新たに「女子の取り扱い」、「不登校や給食が食べられない子」など、ちょっと個々のことにも触れてくださっていますね。まさに「全体を突き放しても個々には見逃せ」でしょうか。

学級をうまく回すための「策略」の基本は、

学級全体は、「父性」で厳しく指導
個々は、「母性」で優しく対応

ということだと思います。
 「ダメなものは、ダメ」という「父性」だけでは、個々の事情に対応しきれません。そうすると、不登校の子が出てしまう可能性が高い。となると、「母性」も必要です。
 「父性」と「母性」のバランスをどうするか?そこが教師の「策略」。腕の見せ所ですね。

―中村先生は父性も母性も自在に操るなんて…自由ですね!先生方はみな真面目な方ばかりですが父性←→母性のいきき、されるのかしら(笑)。私はまじめな先生が大好きです。ですから、まじめな先生ほど学校現場を厳しいと感じれておられる現実がやりきれません。

 私が以前勤務した学校では、毎年2人ずつの教師が辞めていきました。いや、正確には、保護者と子どもに辞めさせられました。
 しかも、他の学校では、エースと言われるようなベテランの、力のある、教師たちが、です。
 私から見ると、どう考えても、保護者と子どもが悪いんですけどね。まじめな教師は、どうしても自分を責めてしまう。
 私は、

もっと人のせいにして生きていくことも大切だ

と思っています。そのぐらい図太くないと、厳しい学校現場では生き残れません。

―だからこそ本書。「ブラック」なんですね。お決まりのブラックな言葉でキメてください。

ブラック流に言い切ってしまえば、

4月にやらなかったこと、徹底しなかったことは1年間ずっとできないと思った方がいい

ということ。
 そのぐらい4月は学級づくりにとって重たいのです。
 若手教師も、4月の重みを知り、「策略」を持って学級づくりをして欲しいと願っています。
 そのためには、『ブラック学級開き』を読め!1人3冊は買うべきです。

(構成:佐藤)
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