著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
捨てる!仕事術は、よりよい人生の選択だ
千葉大学教育学部附属小学校松尾 英明
2017/8/18 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術
今回は松尾 英明先生に、新刊『「あれもこれもできない!」から…「捨てる」仕事術』について伺いました。

松尾 英明まつお ひであき

1979年宮崎県生まれの神奈川県育ち。教職16年目。現在は千葉大学教育学部附属小学校で体育指導を研究。「教育を、志事にする」という言葉を信条に、自身が志を持って教育の仕事を行うと同時に、志を持った子どもを育てることを教育の基本方針としている。野口芳宏氏の「木更津技法研」で国語、道徳教育について学ぶ他、原田隆史氏の「東京教師塾」で目標設定や理想の学級づくりの手法についても学ぶ。

―松尾先生、いつもイイですね。明治図書編集部がもつ先生のおしゃれイメージは、朝からコーヒーを一杯。その後海辺に繰り出しサーフィンしてから出勤。サラッと仕事をこなして定時で退勤…なんですが…笑。実際のところは1日、どんな風に過ごされていますか?

 そのライフスタイルは憧れて挑戦したことがあります…笑。実際それをやった日は、朝からへとへとで全く仕事にならなかったですね。私の先輩で、今も楽しんでそれを実践している人がいます。
 つまり、自分に合ったスタイルというのがそれぞれにあると思っています。カッコつけて人の真似をしてもダメですね。
 私の場合は、朝4時半ぐらいに目覚めて、まず朝の体操。体幹運動です。その後、コーヒーかお茶を淹れて一服。読書をしたら、メルマガ原稿等を書きます。そしてゆっくり朝食をとって自転車で出勤です。朝を快適に過ごすだけで、一日中仕事がはかどります。

―働き方改革が叫ばれる今日。現実仕事はとても忙しいですが、仕事だけの生活はあまりはやらないかもしれません。あれもこれもできないけれど、ソレもコレも手を出したい…そんな教師はどうしたらよいのでしょうか?

 基本的には、まずソレもコレも手を出すことです。自分が本当にやりたいことをやってしまう。これが最優先。よく家庭科の学習で「必要」と「欲しい」のどちらが優先か、みたいなことをやりますよね。常識的には、「必要」を優先するのですが、ここを敢えて「欲しい」優先でいきます。そうすると、時間が足りなくなります。で、何が起こるかというと、「工夫」です。今まで10の力で10の結果を出していたのを、5の力で10の結果を出せるよう工夫せざるを得なくなります。自分を楽しませる方に追い込む訳です。

―本書では「時間術」「整理術」「人間関係術」「教師力」とテーマをあげて捨てるべきと先生がお考えのことをまとめていただいていますが、その中で何よりまず先生が捨てたい!と思われていることは何ですか?

 私が最優先で捨てるのは「労力をかけても大して結果の変わらないこと」ですね。本書の中で「所見へのこだわりを、捨てる」ということを書いていますが、ここは他のことにも波及する大切なポイントです。子どもと親が通知表を受け取って、真っ先に見るのは?そう、教科の評定欄です。通知表の所見欄に恐ろしく時間をかける人がいますが、普段の授業に愛情を込めて、力をつけてBをAに上げる方が余程いい。つまり、ニーズを読むということ。やたらに作り込んだ指導案やプレゼン等も同様です。誰も見てませんから…笑。

―人生は選択。捨てられたモノがあるということはその分得られていることがあるかと思いますが、先生にとって最も大切で、手に入れられたことは何ですか?

 生まれた時間によってできた人とのつながり、ご縁です。それは、家族であったり、友人であったり、新たな仕事をさせていただく方であったり、様々です。
 本書編集担当さんとのご縁もこれです。自分で作り出した時間でメルマガを書き、それを私の親友の飯村友和先生(『やる気スイッチ押してみよう!元気で前向き、頑張るクラスづくり』共著者)が読んでくれ、当時担当だった編集さんに紹介してくれたのが本書誕生のきっかけです。人生は、自分を含めた人とのドラマがすべてだと思っています。一方モノは、その媒介になるので、やはり大切です。好きなモノに囲まれて生きれば、人生が輝きます。だから、整理整頓もやはり大切なのです。

―ありがとうございました。最後に、忙しさの海におぼれそうな先生方にアドバイスお願いいたします。

 私は、自分の人生だから、すべてが自分の選択だと思っています。だから、何にでも挑戦します。逆にやりたくないことは、一切やりません。私の人生だからです。
 今の先生方は、求められることが多すぎます。しかし、立ち止まると、そのすべてには対応できないという事実に気付くはずです。誰もあなたの人生を守ってはくれません。人生を取捨選択し、どうでもいいことを適当に流す。この気楽さをもつために、本書を一度手にとってみてほしいと思います。全国の先生方から「忙しい」の言葉を減らしていく一助になればこの上ない幸せです。

(構成:佐藤)
コメントの受付は終了しました。