著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「組み合わせ単元」で子どもの運動能力を伸ばそう!
筑波大学附属小学校平川 譲
2017/1/27 掲載
今回は平川譲先生に、新刊『1時間に2教材を扱う「組み合わせ単元」でつくる筑波の体育授業』について伺いました。

平川 譲ひらかわ ゆずる

筑波大学附属小学校体育研究部

―本書タイトルにある「組み合わせ単元」とはどのような授業スタイルなのですか?

 1時間の授業の中に、2つ以上の単元(教材)を扱う授業です。低学年だと3つ扱うこともあります。
 算数だと計算練習をしてから、国語では漢字テストをしてから、音楽では今月の歌を歌ってから、本時の主たる内容に入っていく授業がありますよね。そんなイメージです。

―1時間に2つの単元を行うなんて、時間が足りなくなりませんか? 授業マネジメントのコツを教えてください。

 体育の学習班を1年間固定して集合隊形を決めておきます。身長順で学習班をつくると、子ども同士の補助活動(お手伝い)も進めやすくなります。
 用具の準備は、だれが、何を、どこへ運ぶか、を指定して、用具を遠くまで運ぶ班から運ばせます。早く場が整った班をお手本にして、「この班をお手本に準備しなさい」と指示すると分かりやすくなります。
 準備や片付けに時間をかけないことが、運動学習時間を確保するポイントです。これには、用具をできるだけ少なくする工夫も重要になります。

―では、どのような組み合わせがよいのでしょうか? 本書にも例を紹介くださっていますがその中から特にオススメの組み合わせ方を教えてください。

 本書に掲載しているのはいずれもオススメですよ。(笑)
 さらにあげるなら、用具が少ない、準備が簡単な単元がいいですね。
 本校では、どの単元も用具を少なくすることを考えて授業づくりをしています。
 学習効果が高くても、無理は続かないし、他の学校の先生に真似てもらえません。せっかくの研究を広めたいですからね。
 鉄棒運動、なわとびなどは、用具が少なくて済むし、ライン引きも必要ないことがほとんどなので、どんな単元との組み合わせもオススメです。

―授業をされていて、組み合わせ単元の効果をどのように感じていらっしゃいますか? 通常の単元の違い、子どもの様子の違いについて教えてください。

 授業を2単元の組み合わせにすると、授業1回の時間数が0.5時間になって、5時間単元でも10回の授業ができることになります。
 このように、短い時間で、数多く、長い期間運動する方が、子どもの感覚・技能は確実に伸びます。実際、授業で子どもを見ていて実感しています。
 小学生段階の集中力にも合っていて、短い時間で集中して取り組み、次の教材も十分に楽しんで力をつけていっています。

―今、若い先生が増えています。若く元気で子どもたちといっぱい体を動かして体育授業を頑張りたいと思っている先生にメッセージをお願いします。

 若い先生には、実技講習に参加してみることをオススメします。教師は、自分ができなくても指導技術があればいいのですが、若いうちは、自分で経験してみて「あ、こんな感じなんだ」と感じてみると、子どもへの声かけも違ってきますよね。
 それと、授業をたくさん見て、いいなと思う授業を真似てみること。本校の研究会にもぜひ来てください。

(構成:佐藤)
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