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- 理科
単純に言えば、どこに何があるかを可視化することです。
引き出しにラベルをつける、顕微鏡を箱から出しておく、実験器具の収納容器が透明で中に何がいくつぐらいあるのか見える…といったようなことだけでも、見違えるような理科室になります。
まず、よいもの、つまり手本や見本となる作品を掲示する場合ですが、この場合は、今の生徒に限らず、卒業生した生徒の作品(あらかじめ生徒の許諾は得ておきます)を示すのもよいでしょう。
また、よいものもそうでないものも含め、すべての生徒の作品を掲示するのも1つの手です。全員分そろえば、集団で目標を達成したことをほめる材料になります。
教師の指導ではなく、生徒の活動を意識します。
例えば、いわゆる演示実験は、教師が行い、生徒はそれを見るだけ、ととらえがちです。しかし、この演示実験も生徒(の代表)にやらせ、教師はその支援に回る、という方法があります。
また実験を、レシピ通りに進めるだけのお菓子づくりのようなものにせず、生徒が工夫する場面や試行錯誤する場面を必ずつくるようにしたいものです。
毎年4月の授業開きで1年生に「成績には関係しないので、正直な気持ちを聞かせてほしい」として、「理科の授業に望むこと」を書かせてきました。
それを集約すると、生徒が望む授業のモデルは、「講義は少ないが、実験器具及び時間が十分にある状態での実験の機会が数多くあり、しかも、先生はわかりやすく解説をしてくれる」というものです。生徒が望まない授業は、この反対を考えればよいわけです。「大部分が先生の説明だけで、実験といっても先生が演示して見せるだけ、たまに行う生徒実験は途中で中止させられ、先生の不十分な解説でよく意味もわからないまま終わってしまう」という授業です。
本書を参考に、充実した理科室をつくり上げ、ぜひ前者のような授業を実現していただければ幸いです。