著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学校運営がうまくいくコツは「かくれたカリキュラム」の発見・改善にあり!
北海道教育大学学校臨床教授横藤 雅人
2016/4/26 掲載

横藤 雅人よこふじ まさと

1955年北海道生まれ。1978年北海道教育大学教育学部卒業。札幌市立小学校教諭,教頭,校長として勤務し,2016年まで北広島市立大曲小学校長。2016年から北海道教育大学学校臨床教授。

―本書は『その指導、学級崩壊の原因です!「かくれたカリキュラム」発見・改善ガイド』の続編にあたります。前著との違いを簡単にご紹介ください。

 前著は、主に学級担任を読者に想定しました。大きな章立てを「学級経営」「授業」としたのも、その意図からでした。本書は、タイトルにもあるとおり、学校運営においてリーダー的な働きをする管理職や主任を想定し、「環境」「会議」「保護者・地域」などの場面における判断を題材にしています。さらに、「行政や教員養成大学」の仕事に見られる「かくれたカリキュラム」にも言及しています。
 

―「かくれたカリキュラム」を働かせないために、学校の管理職・主任が気を付けるべきポイントにはどのようなことが挙げられますか?

 何と言っても、事前に細部にわたって「説明のつく」設定・準備・行動をすることです。次に、動き始めたら早い時期にその感触を聞き出したり、点検したりして、その動きの後押しをしたり修正をしたりすることです。そのためにも、管理職や主任はアクティブでなくてはなりません。本書では「毎日学校を回ろう」「会話・対話を多くしよう」「そこにいるだけでゴーサイン」など、具体的な動きの提案をしています。

―第2章でも触れられていますが、「チーム学校」という言葉をよく目にするようになりました。「チーム学校」の実現に向けて管理職・主任の役割を教えてください。

 「チーム学校」とは、「目標明確化軸」と「コミュニケーション軸」で象限を切った場合、どちらの軸もよく機能している学校のことです。(それについても、詳細に説明しています。)この2つを十分に働かせるには、「かくれたカリキュラム」の発見と改善が欠かせず、またそこに手を入れるのがもっとも効率的です。ですから、学校を改善するには、「かくれたカリキュラム」の発見と改善に、エネルギーを注ぐべきです。

―第6章は「学び方の指導」についてご紹介いただきましたが、この章はどのように活用してほしいと思いますか?

 この章は、前著と同じく武藤久慶さんに執筆してもらいました。学校が学び方を教えないことが「かくれたカリキュラム」として機能し、「勉強はやってもできるようにならないこと」、「努力は成果につながらないこと」を子供に学習させてしまうという恐ろしい事態を、豊富な具体例とともに詳しく解説されています。残念ながら学習方法・学習スキルをきちんと指導している学校は少ないのが現状です。問題提起だけでなく、解決策の提案も盛り込まれていますので、管理職や主任がリーダーシップを発揮して、すぐにでも学校改善に役立てて頂きたいと思います。 

―最後に全国の先生方に、メッセージをお願いします!

 時代は、学校教育が難しい方向にどんどん進んでいます。3年もたずに辞めていく若手教員が増えています。それにもっとも歯止めをかけやすいのは、その学校の管理職や主任です。「かくれたカリキュラム」を発見・改善することで、学校は必ず元気になります。
 ぜひ本書を参考にして、元気な学校をつくってください。応援しています!

(構成:木山)
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