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授業で重視すべきことは「生活の中から課題を見つけ、問題解決を図り、学んだことを再び生活に生かす」ことです。特に導入は肝心です。当たり前になっている生活をハッと見直したくなる発問や活動を仕組むのが教師の腕です。家庭科で学ぶのは、こうした生活の問題解決力となる知識、技能、創意工夫性であり、家族の一員として家庭や地域生活を大切にし、身近な環境も含めまわりも自分の生活もより一層温かく幸せなものにしていくための主体的な実践力なのです。
まずは家庭科指導の「基本中の基本」である安全指導や管理に関する内容をご活用いただきたいと思います。本書には事故防止だけでなく、万一の場合どう行動すべきか、保護者への連絡はいつどのように行ったらよいかなど、教師経験30数年で得た知見を詳しく記しました。第1章「安全指導」や第2章「学習準備・ガイダンス」をご参照ください。きっと自信を持って授業に臨めるようになると思います。
調理実習はしたけれど、「作って終わり」になってしまった経験はありませんか? 生活を見つめさせたいと思っていても、なかなか方策が浮かばなかったことはありませんか? 本書では、このような先生方の悩みに応える手立てや実践など多彩な授業アイデアを50例載せています。本書は、いつもの授業に新しい風を入れたい時、子ども主体の笑顔輝く授業を創りたい時、授業づくりのヒントとしてお役に立てる本です。
アクティブ・ラーニングで一番大切なのは、子どもが主体的に学ぶ質の高い活動を行うことです。それには、子どもがハッとして調べたり試したりしたくなる活動を仕組むことです。たとえば「リンゴを丸ごとむいたら、皮はどんな形になるかな?」と尋ねてみます。答えを知りたくて、子どもは何度も皮むきに挑戦します。そして、「どうだった?」と友達と交流を始めます。「皮むき練習5回!」などと命じなくても、クラスに皮むき名人が勢揃いします。子どもたちの「やる気」に火をつけるのが一番のコツなのです。
家庭科は今、子どもにとって「一番好きな教科」です(ベネッセ教育総合研究所調べ、2015年)。子どもたちの期待は熱いのです。これに応えて「生活っておもしろい!」「生活って奥が深い!」と子どもたちを夢中にさせませんか? それには、家庭科独特の学び方についての理解が不可欠です。授業を楽しくするアイデアも必要です。さらに安全を確保し、多様なニーズの子どもに対応できる準備もいります。社会の変化に伴って家庭生活が激変しています。家庭科も進化しています。学び直すなら今!です。ぜひ「新しい家庭科」の風を授業に採り入れてください。