著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
過程を重視したアクティブ・ラーニングで、教科の本質を追究しよう!
佐賀大学文化教育学部准教授米田 重和
2016/4/1 掲載
 今回は米田重和先生に、新刊『中学校数学科 アクティブ・ラーニングの教材&授業プラン』について伺いました。

米田 重和こめだ しげかず

1971年、熊本生まれ。
1994年、熊本大学教育学部卒業。
2004年、熊本大学大学院教育学研究科修了。
1994年から2013年まで公立中学校勤務(熊本市立出水南中学校、天草郡有明町立有明西中学校、合志市立西合志南中学校、熊本県菊池市立菊池北中学校)。
2013年、佐賀大学文化教育学部准教授。

―教科としての数学の本質を追究しつつ、「主体的・協働的な学び」を実現するためには、授業をどのように構成すればよいのでしょうか。

 教科書の内容を解説するような「結果を伝える数学の授業」では生徒にとって受け身の授業になってしまいます。そうではなく、私たちは「過程を重視した数学の授業」が大切だと考えています。
 「過程を重視した数学の授業」とは、文字通り、生徒が学習する過程を大切にした授業のことです。私たちは、大きく「@内発的動機を高める問題の提示」「A個人思考」「B集団思考」「C振り返り、習熟や発展」の4つの過程で授業展開をとらえ、実践してきました。

―本書で紹介されている授業では、難しい課題でも生徒が粘り強く考え、自ら気づいたり、ひらめいたりする場面がたくさん見られます。このように、気づきや、ひらめきを生徒から引き出すために、教師はどのような働きかけをするとよいのでしょうか。

 まずは、日頃から指導している先生の姿勢、指導の積み重ねが生徒の粘り強さにつながっているということだと思いますが、授業でいうなら、上の4つの過程の中の@内発的動機を高める問題の提示が重要になります。内発的動機を高めることが、生徒が自力で考えたり、粘り強く取り組もうとしたりする姿につながるからです。
 そのうえで生徒の気づきや、ひらめきを引き出すための教師の働きかけとして、ヒントを与えるときも、直接解法を示すのではなく、その生徒が理解している段階から徐々に段階を上げていくようにし、生徒自身に気づかせることが大切だと考えています。

―本書で紹介されている授業の多くは、トピック的な扱いではなく、単元の指導計画の中にきちんと位置づけられています。アクティブ・ラーニングを単元の指導計画の中に組み込むとき、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

 アクティブ・ラーニングを実現するためには「過程を重視した数学の授業」に授業観を変えるということが一番大切だと思います。そのうえで、教科書、雑誌やインターネット上の教材、今までの研究授業で使われた教材、身の回りの教材を見直してみます。
 なにも新しい教材を開発する必要はありません。気に入った教材でアクティブ・ラーニングの実現が可能かどうか、そして、単元の中に位置づけることが可能かどうかを考えてみてください。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 主体的・能動的な学びは、これまでの中学校現場でも求められてきました。私自身、中学校現場では、教師が機械的に教え込むのではなく、生徒が主体的に学ぶ授業を目指し、その実現に向けて、わかりやすく教えるのではなく、生徒が考える場面を中心に据えて授業づくりをしてきました。
 本書では、「過程の重視」「単元の指導計画の中への位置づけ」という観点から、アクティブ・ラーニングの提案を行っています。
 よりよい数学教育の実現に向け、読者の先生方と意見交換をしながら、研究ができれば幸いです。

(構成:矢口)
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