著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「朝の会・帰りの会」の5分の活動で学級を最高の雰囲気にしよう!
上越教育大学教職大学院教授赤坂真二
2016/2/5 掲載
 今回は赤坂真二先生に、新刊『クラスを最高の雰囲気にする!目的別朝の会・帰りの会アクティビティ50』について伺いました。

赤坂真二あかさか しんじ

1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院教授。学校心理士。「現場の教師を元気にしたい」と願い、年間約100回の講演を実施して全国行脚。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。2008年4月から、より多くの子どもたちがやる気と元気を持てるようにと、情熱と意欲あふれる教員を育てるために現職に就任する。主な著書に『スペシャリスト直伝!学級を最高のチームにする極意』 、『スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意』、『クラスを最高の雰囲気にする!目的別学級ゲーム&ワーク50』(以上、明治図書)などがある。

―本書は『クラスを最高の雰囲気にする!目的別学級ゲーム&ワーク50』の続編ですが、今回「朝の会」「帰りの会」にスポットを当てた理由を教えてください。

 朝の会・帰りの会は、集団づくりにとって「黄金の時間」です。どんなに日程が慌ただしくても、どんなに授業時数が不足しそうになりそうでも、ほとんど毎日、実施されます。
 そして、朝の会は家庭の子どもが学校の児童生徒に変わり、帰りの会は児童生徒が子どもに返る時間です。ちょっとした仕掛けで、学校生活の始まりと終わりを明るくあたたかな雰囲気でサンドイッチのように包み込むことができるまたとない時間なのです。

―本書では「目的別」の活動を紹介していますが、どのような目的で使うことができますか?

 本書でつくろうとしている雰囲気は、次の5つです。

  1. 安心の雰囲気
  2. かかわろうとする雰囲気
  3. ルールやマナーを守る雰囲気
  4. あたたかな結びつきをつくる雰囲気
  5. 自分たちで問題を解決する雰囲気

 この5つは、学級が成長していくときにつくられる雰囲気ですので、学級の発達段階のもつ雰囲気ともいえます。
 つまり、これらの雰囲気をつくることで学級をより機能的にレベルアップしていくことができます。

―前作同様、単なる活動の手順だけではなく、活動の評価や日常化のポイントも紹介されていますが、この部分はどのように活用すればいいでしょうか?

 ただ、マニュアルをなぞるようにして実施すれば学級が変わる訳ではありません。そこには教師の見取りとそれに基づく継続的な働きかけが必要です。実施する度に、評価のポイントで活動がうまくいったかどうか振り返ってみてください。そして、次の手を打ってみてください。また、朝の会帰りの会で子どもたちが得た気付きを日常化するようにしてみてください。朝の会帰りの会での雰囲気が持続し、拡散して学級を成長させることでしょう。

―アクティブ・ラーニング(AL)が話題になっていますが、授業でのALを成功させるために、これからはどのような学級づくりを意識する必要がありますか?

 ALは、言うまでもなく主体的で能動的な学びの在り方です。主体性は学びの目的を自覚し、自ら学習に向き合うことを、そして、能動性は積極的な他者へのかかわりを意味します。もうこれを読んだだけで、学級集団づくりの必要性が伝わってきませんか。ALは、意欲的な集団だからこそ可能な学習です。つまり、これからの学級集団づくりには、子どもたちの学校生活への意欲を高めることが必須条件となります。その為には、教師は、子どもたちの意欲を高めるリーダーシップを学ばなくてはなりません。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 学級集団のもつ雰囲気と子どもたちの意欲には高い相関があります。つまり、集団によい雰囲気をつくることができる教師が、子どもたちの意欲を高めることができるのです。本書を使ってAL時代の学級集団づくりにチャレンジしてみてください。成果は必ず子どもたちがその姿で見せてくれます。みなさんの学級が、常によい雰囲気と共にあらんことを…。

(構成:木山)
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