著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教科のプロ×特別支援のプロで育む本物の力
筑波大学附属小学校桂 聖
2015/4/8 掲載

桂 聖 かつら さとし

筑波大学附属小学校
授業のユニバーサルデザイン研究会代表

―本書執筆者はとてもゴージャスですね!こんな先生方が加わられての本書、どんなきっかけで生まれたのでしょうか。

 子どもたちの中には人間関係を築くことが苦手な子が増えてきており、「ソーシャルスキル(SST)」を丁寧に指導していく必要性が高まってきました。
 特別支援教育の専門家である阿部利彦先生から、こうしたSSTの話を伺っていたとき、「もしかしたら、SSTは、教科の優れた授業の中にもあるのではないか!?」というアイデアがひらめきました。
 その後、阿部先生を交えて、算数の盛山隆雄先生、音楽の平野次郎先生、体育の清水由先生と一緒に何度も勉強会を行い、理論と実践を結びつける作業をしました。
 教科の優れた授業では、教科の本質に関する指導と共に、子ども同士の望ましいかかわり方も指導しています。教科の授業でも、ソーシャルスキルの指導は不可欠なのです。
 教科の授業の中でソーシャルスキルを同時に指導していくための工夫を多くの先生にも知っていただけたらと、本書にまとめました。

―本書は「教科で」とタイトルにうたわれていますが、なぜ教科の授業でソーシャルスキルトレーニングなのでしょうか。

 ソーシャルスキルには「トレーニングしたことが生活に活用されにくい」という課題があるということで、それならば、通常の教科の授業で学べたら効果が高いのでは…と考えました。
 本書では国語・算数・音楽・体育での実践を紹介しています。

―先生は国語をご専門に指導されていますが、その指導中に、子どもたちにソーシャルスキルを身につけさせたいなぁと思われるのは特にどんなときですか。

 いろいろありますが…たとえば、私は、音声言語の指導で「話せば話すほど、関係が深まる」ことを大切にしたいと考えています。「ディベート」だと、論理的に話すことが優先され感情にしこりが残ることもあります。互いに関係をつくりつつ、論理的に話せることを目指すとき、ソーシャルスキルを意識しなくてはなりません。
 本書では、そんなエクササイズもご紹介していますので、どうぞご覧ください。

―最後に、本書を手に指導を始めようとされる先生にメッセージをいただけないでしょうか。

 子どもの生活のほとんどは教科の授業です。その時間の中で「生きたソーシャルスキル」を学ぶことができればこれほど画期的なことはありません。クラスで共に学ぶのですから、ぜひ教科の授業でソーシャルスキルを指導していきましょう!

(構成:佐藤)

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