著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
理想のクラスにグッと近づく学級経営のアイデア満載!
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2015/3/3 掲載
 今回は玉置崇先生に、新刊『中学校の学級づくり 365日の仕事術&アイデア事典』(1〜3年)について伺いました。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭,愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在、小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「中央教育審議会」専門委員歴任。
主な著者に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書)、『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』(明治図書)、『わかる!楽しい! 中学校数学授業のネタ100』(1〜3年)、『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス)ほか。

―本書の特長の1つとして、学期の節目や行事ごとに、学級担任が生徒に向けて行うトーク例がたくさん紹介されていることがあげられます。このトーク例を実際に教室で活用する際のポイントを教えてください。

 まず、決してやってはいけないことから言いましょう。この本を教室に持っていって、トークをそのまま読み上げるということをしてはいけません。“そんな人はいるはずがない”と思うかもしれませんが、教室に教科書の指導書を持ち込んで授業をやっている人を見たことがありませんか? 
 便利なトーク例がたくさん収録してあります。それらを参考にして、担任として生徒に伝えたいことを思いを込めてはっきりと語ってください。生徒との言葉のキャッチボールを楽しんでほしいと思います。

―本書の中では、学級の理想像の1つとして「ユーモアのわかる学級」があげられており、楽しく取り組むことができそうな活動が多く紹介されています。では、「ユーモアのわかる学級」に近づくために、学級担任の先生はどんなことをすればよいのでしょうか。

 まず、学級担任が、学級づくりを“楽しむ”という精神を忘れないことだと思います。例えば、「担任も参加しておかわりジャンケン」(2年編、p.50〜51)というアイデアを紹介していますが、これは担任も生徒と一緒に学級生活を楽しむ精神を具現化した例です。
 いわゆる“ノリがいい”教師になると、生徒のノリもよくなってきます。心が通い合った証です。教師も生徒も、教室で心の開放が自然にできるようになれば、いつも笑みがある温かい学級になるでしょう。

―本書では、各学期ごとの通知表所見の文例も紹介されています。よく、良くも悪くも目立たない生徒は所見が書き難いと言われますが、そういった生徒の所見を書く際に困らなくて済むコツを教えてください。

 所見が書き難い生徒は確かにいますね。私は「今日はあの生徒をしっかり見るぞ」と心に決めて、教室に出かけていました。授業でも意識して注視します。すると、その生徒のよさが見えてくるのです。清掃道具箱の汚れまで気づいて黙って掃除をしている姿を見たときは、感動して一気に所見を書きました。懇談会のときに保護者から「先生は本当によく見てくださっています」とうれしい言葉をいただいたことがあります。

―本書を手にしてくださる方の中には、この春から中学校に勤務される新任の先生や、はじめて学級担任をする先生も大勢いらっしゃると思います。そういった方々に向けて、これを意識すると必ず学級経営上プラスになる、という習慣を1つ教えてください。

 生徒への語りに心を注ぐことが大切です。どの生徒も、はじめは教師の話をしっかり聞こうと思っています。それが、あるときからだんだん聞かなくなり、教室全体にザワザワ感が生じてくることがあります。生徒が教師から離れてしまった失敗例です。その原因として、日々の教師の話がムダに長かったり、聞いてもあまり意味がなかったりすることが考えられます。
 本書のトーク例を参考に、伝えたいことを1つか2つに絞り、端的にズバリと話す習慣をつけてみてください。人の話がよく聞ける学級は、まとまりがあるものです。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 「ストーブ談義」という言葉を知っている方も随分と少なくなったと思います。かつて職員室では、ストーブを囲んで、若手教師が先輩教師から、学級づくりのアイデアや押さえるべき仕事のポイントを聞いたり、行事前に学級担任として語るべきことを教えてもらったりしていたものです。とても豊かな学びがありました。本書は、その学びを紙上で再現したものです。読めば読むほど、学級づくりへのアイデアが浮かんでくることと思います。こんなことを話してみようというネタも生まれてくると思います。本書を大いにご活用ください。

(構成:矢口)
コメントの受付は終了しました。