著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
デキる教師は、“ここ一番”を知っている!
山形県公立小学校教諭佐藤 幸司
2015/2/27 掲載
 今回は佐藤幸司先生に、新刊『新任でも必ず知っておきたい 学級経営の踏ん張りどころ51』について伺いました。

佐藤 幸司さとう こうじ

1962年,山形市生まれ。1986年より教職。山形県小学校教師。教育研究団体「道徳のチカラ」代表。温かみを感じる素材でつくる「ほのぼの道徳授業」を提唱し,独自の視点から100を超えるオリジナル道徳授業を生み出している。

―4月の新年度スタート前、新任の先生には事務処理等が山のように待ち構えていると思います。そんな中でも、意識すると必ずプラスになるちょっとした習慣を1つ教えてください。

 ズバリ、職員室の机上の整理整頓です。
 書類を山のように積み重ねて、「自分は、この方が必要な書類が見つかりやすい!」と豪語している人はいませんか。それは、すべての書類がそこに積んであるから、捜せば見つかるというだけの話です。
 書類は、“寝せない”ことが基本です。ファイルを数冊準備して綴じ込みます。この分類の仕方(カテゴライズ)が大切です。
 机の上の乱雑さは、仕事の乱雑さにつながります。

―本書でも取り上げられていますが、GW明け、夏休み明け…など、季節の変わり目には学級が不安定になりがちだと思います。こういった季節の変わり目に学級の緩みを引き締めるよい方法を1つ教えてください。

 何か“新しさ”にチャレンジしましょう。新しい具体的なめあてをもたせます。
 例えば、日記を書かせているのなら、ちょっと趣向を変えて「テーマ日記」に取り組みます。テーマの例をいくつか子供に示してください。
 夏休み明けなら、朝の会でのスピーチもおすすめです。夏休みの思い出をテーマに、1分間程度のスピーチを交代で行います。
 季節の変わり目は、新たな取り組みへのチャンスと考えましょう。

―子供との関係づくりにおいて、特に男性の先生にとっては、高学年女子とのつき合い方は難しさを感じるものの1つだと思います。ズバリ、良好な関係を築く秘訣を教えてください。

 高学年女子は、子供扱いしない。でも、大人扱いしない。これが基本です。
 つまり、自然体で接することです。妙に気をつかって接すると(特に、若手の男性教師は)、不自然さが子供に伝わります。身体計測や水泳前の健康観察等は、さりげない配慮が必要です。他は、普通でいいのです。
 また、“普通にがんばっている”子への声かけ(ほめ言葉)は意識したいところです。やんちゃな男子に気をとられていると、普通にがんばっている女子に対して無関心になってしまうことがあります。普通にがんばっている子が立派なのです。

―昨今は、保護者との関係づくりも学級経営の重要なポイントであると思います。例えば、保護者からのクレームには、どのように対処すればよいのでしょうか。

 学級担任をしていれば、時には保護者からのクレームもあるかもしれません。その際は、電話ではなく、できるだけ直接話をしましょう。電話は、そのアポを取るために使います。つまり、家庭訪問か来校してもらっての個人面談です。足を運ぶのはちょっと億劫な気もしますが,たいていはその1回の訪問で誤解が解けます。電話で何度も話をするよりも、結果的に短期間で問題を解決できる場合が多いのです。
 頻繫にクレームをつけられるのは、特別なケースと考えた方がよいでしょう。一人で悩まず、学年主任や教頭に早めに相談して、複数の教員で対応するのが基本です。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 教壇は、選ばれた者だけが立てる最高のステージです。
 難関の採用試験を突破して、教師になったのです。
 教師にこそ、自尊感情が必要です。
 「子供たちから『先生!』って呼ばれている自分って、結構カッコいいんじゃない」
 毎日がんばっているのだから、少々うぬぼれても、ばちはあたりません。
 せっかく教師になったのだから、教師人生を楽しみましょう!

(構成:矢口)
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