著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級開き・最初の1か月で1年の7割が決まる!
宮城県女川町立女川小学校教諭佐々木 潤
2015/2/4 掲載
 今回は佐々木 潤先生に、新刊『学級開き入門』について伺いました。

佐々木 潤ささき じゅん

1962年、宮城県生まれ。宮城県女川町立女川小学校教諭。授業づくりネットワーク・東北青年塾スタッフ。お笑い教師同盟・東北支部長。実践研究、講演会などを精力的に行っている。『一番受けたい授業』(朝日新聞社編)で全国76人の「はなまる先生」の一人に選ばれる。平成22年度文部科学大臣優秀教員受賞。『一日一笑!教室に信頼・安心が生まれる魔法のネタ』(学事出版)など、著書、共著多数。

―本書は「THE教師力ハンドブック」シリーズの1冊として、テーマは「学級開き」です。まず本書の特徴について教えて下さい。

 本書は、学級開きを最初の1か月ととらえ、1年を左右するこの1か月で何をすればいいのかを具体的に解説した本です。時系列に合わせて、何日目に何をするのかが書いてあります。特に初任者層を意識して書きましたが、10年以上の経験がある方にも読みごたえがあるものになっています。ファースト・インストラクションが大事である、というのが本書の主張です。

―学級開きは「黄金の3日間」とも言われ、また最初の1カ月で1年の7割が決まるとも言われています。この勝負の時間に、大切なことは何でしょうか。

 本書でも触れていますが、大切なのはシステムやルールを確立させることです。そのためには教師と子どもの信頼関係を築く必要があります。信頼関係はそう簡単に築けませんが、「あ、この先生は何かおもしそうだな。言うことを聞いてもいいな。」と思わせることから始めます。何をすればいいかは…、本を読んでみてください(笑)。

―学級開きでは、子ども達に安心感をもたせることも大切です。本書でも詳しく紹介されていますが、クラスを温めるために、先生おすすめの取り組みがあれば教えて下さい。

 やはり、笑いですね。先生がおもしろいことをできれば言うことなしです。私はそれができる種族です(笑)。でも、キャラによっては難しい先生もいますよね。そういう時はミニゲームをたくさんすることです。これがクラスの雰囲気を温める一番手っ取り早い方法です。

―読者の先生方の中には、この春、初めて学級を担任する先生も多くいらっしゃると思います。佐々木先生が初めてクラスを持たれた際に苦労された点と、それをどのように解決したのかを教えて下さい。

 最初に担任したのは5年生でした。苦労したのは女子との関係です。なにしろ女心を理解していなかったので(笑)。女の子は愛情を確認するためにわざと逆の態度(反抗的な態度とか)をとることがあるので、そうされてもめげないことです。恋愛と同じで、肯定的なメッセージを送り続けているといつか振り向いてくれます。

―学級開きでシステムとルールが確立された後は、子どもが創意工夫する余地を増やしていくことが大切になります。「クラスの最終形態は自治」と本書の中でも述べられていますが、子ども達に自立し、考える力をつけていくにはどのような取り組みが必要でしょうか。

 やはり、創意工夫する場や自分で判断する場を意図的に設定することです。創意工夫のためには時間を確保することが一番大切です。朝の活動の時間を係活動の時間にするとか、授業のすきま時間を会社活動にするとか。自分で判断できるようにするためにはスケジュールを知らせておいて、どう行動すればいいか促します。
 それから、システムをつくることです。私はクラス会議もやっていますが、これは自治を進めるうえで効果的なシステムだと思います。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 最初の1か月は忙しいですよね。とくに、昨年度崩壊した学級を担任される方は本当に大変だと思います。でも、この1か月に自分の力のすべてを注ぎ込んで学級づくりをしてください。“自分のすべて”ですよ。本書がその手助けとなればいいなあ、と思います。頑張りましょう、ご同輩!

(構成:及川)

コメントの受付は終了しました。