著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもも教師も楽しめる問題解決の算数授業を
北海道教育大学教授(旭川校)相馬 一彦
2011/5/13 掲載
 今回は相馬一彦先生に、新刊『算数科「問題解決の授業」に生きる「問題」集』について伺いました。

相馬 一彦そうま かずひこ

北海道教育大学教授(旭川校)
1954年秋田県生まれ。東京教育大学教育学部教育学科卒業。筑波大学附属中学校教諭、北海道教育大学助教授などを経て現職。著書に、『中学校数学科新「問題解決の授業」に生きる「問題」集』(著書)『略案で創る中学校新数学科の授業(全3巻)』(編著書)などがある。

―本書はどのような趣旨で刊行されたのでしょうか。

 新学習指導要領では、算数的活動を通した授業が一層強調されています。そのために

  • 「問題解決の授業」を行いたいが、「問題」をつくるのが難しい。
  • よい「問題」をいろいろ知りたい。

ということがよく聞かれます。こうした声に応えるためにまとめました。

―「問題解決の授業」には誤解もあるようですが、具体的にはどのような授業を行えばよいのでしょうか。

 確かに、「型に当てはめる授業」「教科書を使わない授業」などの誤解も聞かれますが、そうではありません。問題の解決過程を重視して、子どもが主体的に学ぶための授業を行うことが基本です。例えば、自力解決の時間を多くとりすぎて練習の時間がなくなることのないようにしたいものです。

―本書にも100の問題が掲載されていますが、「問題解決の授業」で使いやすい良問とはどんなものでしょうか?

 「おや?」「なぜ?」という気持ちが生じて、「考えてみよう」「やってみよう」という学習意欲を引き出すことのできる問題です。そのために、本書では「〜はどれか」「〜は正しいか」などの、複雑ではなく誰でも予想できるような“決定問題”を集めました。

―「問題解決の授業」を効果的に行うポイントはどんなことでしょうか?

 一番のポイントは、予想を取り入れることです。問題について異なる予想が出されると、子どもは「おや?」「どちらが正しいの?」という気持ちになって考え続けるからです。第二のポイントは、「何でも言い合える」「まちがいを認める」学級の雰囲気をつくることです。

―全国で算数を教える先生方へのメッセージをお願いします。

 算数には、「答えはひとつでも考え方はいろいろ」「式や図などから考え方がはっきりわかる」などの特性があります。また、「できた!」「すごい!」という達成感や感動のある教科です。算数を通して、「考えることは楽しい」という子どもを育ててください。

(構成:木山)
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