山ちゃんの特別支援教育 de ボディパーカッション!
ボディパーカッション教育考案者の山田俊之先生が、すべての子どもたちとコミュニケーションがとれるとっておきの活動を伝授!
山ちゃんのボディパ(9)
音程がない合唱があってもいいじゃないか!「ボイス・アンサンブル」を楽しもう
久留米市立日吉小学校教頭山田 俊之
2013/2/10 掲載
  • 山ちゃんのボディパ!
  • 特別支援教育

 いかがでしたか。合唱のイメージが180度変わったのではないでしょうか。
 ぜひやってみたい!と思った方、おまかせください。本日ご紹介する「ボイス・アンサンブル」は、音程を気にせずにすべての子どもたちが楽しめる合唱です。

声を出すのは好き!でも音程が気になって…

 合唱は、みんなで一つの歌を歌うことで、お互いコミュニケーションがとれたり、一体感を感じたり、団結力を育んだり、とても魅力的な集団活動です。
 しかし、本格的な合唱となると、音程はもちろん、声の大きさや発声(音色)、ブレス(息つぎ)まで揃えることが大切になってくるため、歌が苦手な子どもたちにとっては、かなりハードルが高いものです。
 子どもたちの多くは、声を元気一杯出して音楽を楽しみたい!という気持ちをもっています。しかし、音程や音色が重視される合唱になると、そのような気持ちを、なかなか表現できないのでは、と感じていました。
 そこで考えたのが、本日ご紹介したボイス・アンサンブルです。「もっと気楽に合唱を楽しもう!」という考えのもと、短い言葉を組み合わせ、リズムアンサンブルによって声を合わせる楽しさを味わうことができる活動を考案しました。
 ボイス・アンサンブルの一番のよさは、「音程を気にせず、元気一杯声を出して楽しめる!」ことです。

仕組みは簡単!好きな言葉をどんどんつなげよう

 それでは、本日ご紹介した「学校大好き」という曲の楽譜をご紹介しましょう。

※楽譜は、当時から多少変えているため、映像と異なっている部分もあります。

楽譜画像
(画像をクリックするとPDFが開きます。)

 どうですか? 楽譜といっても、音程はありませんので、このように様々な言葉を組み合わせてできているだけです。
 この曲は、小学校の教科である「国語」「算数」「理科」「社会」「音楽」という言葉をベースに、学校生活に関連した言葉を取り入れてつくりました。「体育」「バスケ」「水泳」「宿題減らして」「遊び増やして」「先生大好き」「音楽大好き」「学校大好き」など、本当に自由に言葉を組み合わせて作曲しています。これなら、自分たちの好きな言葉を組み合わせて、オリジナルの曲をつくることもできますね。

音程に関係なく元気一杯の歌声!でも仕上がりは立派な合唱曲

 本日演奏しているのは、平成5年当時、私が担任していた久留米市立篠山小学校6年1組の子どもたちです。中には歌が苦手な子どももいましたが、元気一杯声を出して、演奏してくれました。
 声を元気一杯出したい、音楽を楽しみたい!という気持ちは、特別支援の子どもたちも全く同じです。このボイス・アンサンブルであれば、音程を気にすることなく、思う存分声を元気に出して、楽しむことができます。それなのに、でき上がった演奏は、不思議と一体感が感じられる、立派な曲として聴こえてくるでしょう。
 ぜひ、特別支援の子どもたちと一緒にボイス・アンサンブルに取り組んで、合唱の楽しさを味わってみましょう。

山田 俊之やまだ としゆき

久留米市立日吉小学校教頭。九州大学大学院人間環境学府教育システム専攻修士課程修了。
1986年11月、小学校4年生の担任の時、学級活動の中で誰でも簡単にできる手拍子、ひざ打ち、おなかを叩く、声(ボイス)を出すなどのリズム身体表現を「ボディパーカッション」と名付け教育活動を始める。その後、現職教諭として小学校、養護学校(知的障害)、聾学校(聴覚障害)、学童保育所などの教育現場でボディパーカッション教育を取り入れた実践を行う。
平成21年度NHK障害福祉賞最優秀受賞。平成23年度読売教育賞(特別支援教育部門)最優秀賞。
平成17年度文部科学省検定済小学校3年音楽科教科書「音楽のおくりもの」(教育出版)にボディパーカッション曲「花火」、平成24年度特別支援教育文部科学省編集中学部音楽科教科書「音楽☆☆☆☆」にボディパーカッション曲「手拍子の花束」が採用される。
ボディパーカッション教育振興会HP

(構成:木村)
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