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● 子どもたちが進んで取り組む自主学習のためのステップ ●
ステップ1 前年度の自主学習システムを生かす
前年度「自主学習システム」を行っていた場合、次のことを確認します。初日から自主学習をさせて、子どもたちの現状をつかみます。可能なら、前年度の自主学習ノートを持ってきてもらいます。
○全員が必ずやってくるか。
○自学の提出の仕方はどうか。
○どのような自学内容をやってくるか。
○ノートの使い方はどうか。
○評価はどうなっていたか。
○友達の自学紹介はどうなっていたか。
全員がやってこなければ、全員がやってくるように仕掛けます。提出の仕方が曖昧だったら、システム化します。自学内容がドリル型のものばかりだったら、自学内容が多様なものになるようにします。前年度のシステムを活かしながら、変更点を見つけることが第一段階です。
ステップ2 全員経験の場を必ず設定する
先の確認で一番大切にしているのが「全員」です。全員が自主学習を楽しく取り組んでいるか。嫌々で取り組んでいないかを見ています。「全員力→全力」になることで自主学習が浸透するので、全員が自主学習って楽しい、もっとやってみたいと思うようになる場=全員経験の場を仕掛けます。例えば、次のようなものです。
朝学や授業時間・帰りの時間などを利用して、5〜10分程度の自主学習を経験する時間を設定する。
これが全員経験の場です。全員が同じことを経験することで、どんな風に自主学習に取り組めばいいかという、共通の話題をもつことができます。
例えば、下の教材は「カキクケコ」から始まる国を探し、世界地図に色を塗ったり、国名を書いたりするものです。
まずは、これを全員で調べます。友達と、わいわい言いながら調べます。教え合い自由です。この後は、このプリントをそのままノートに貼って、他の行(例えば、サ行など)の国を友達と調べ続けます。自主学習が進みます。
まず、全員が同じ経験。そこから、自主学習として発展させる。それを続けることで、自主学習のやり方・内容が見えてきます。
ステップ3 自主学習に取り組む内容に困らないようにする
自主学習で何をしたらいいか分からない。そんな子どもたちが、結構います。4月1ヶ月は、先の全員経験の場で「こんなものも自主学習になる」という体験をしてもらっています。例えば、こんなものにも取り組ませています。
「葉っぱ観察」というものです。葉っぱは、身の回りにいくらでもあります。自主学習を続けるのに、ネタに困ることがないくらいあります。たとえ葉っぱのネタが無くなっても、花・茎・根を調べることができます。植物でなく、動物へと目を向けてもいいです。自主学習のネタが、どんどん広がっていきます。全員が自主学習を経験する場では、身の回りに、自学ネタはいくらでもあることを体感させます。
子どもたちに大人気なのは「集め自学」です。下は「牛乳の蓋」。集めて、分析したことを書く。楽しくてならないと言う自主学習です。
4月までに「(1)前年度の様子をつかみ(2)全員経験の場を設け(3)自主学習内容のネタはいくらでもあると体感させる」、これが大切です。そうすることで、5月から「全員が毎日喜んで、進んで出す自主学習」になります。
たとえ、ここに紹介した「3つのステップ」を4月に踏むことができなくても大丈夫です。何月スタートでも、この3ステップを大切にすることで、子どもたちの自主学習への取り組みは確実に変わっていきます。
更に細かな資料やステップは、拙著『自主学習システム&ノート作成法』(明治図書)に書いています。関心のある方は、一読いただけると幸せです。