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『アクティブ・ラーニング入門』の第1弾が世に出た当時は、「アクティブ・ラーニングって何?」の状態でしたが、1年以上たち、書籍も研修会も充実してきました。しかし、百家争鳴の状態で収拾がつかない状態になっています。
本書は、そもそもアクティブ・ラーニングとは何かを改めて問い直してもらうための本です。
この世に全くない実践を「やりなさい」と学習指導要領で求めれば、それが世にあらわれるとは中央教育審議会の委員の方は思っていません。一方、世の中の多くの教師が既にやっていることを「やりなさい」と言う必要がないことも知っています。
これまでにも取り組んでいた人はいるでしょう。しかし、それを取り組んでいる人はごくわずかな実践であるが、今後すべての教師が実践すべきで、出来る実践、それがアクティブ・ラーニングです。
したがって、「これまでも取り組んできた」とは、多くの人にとっては、自分は取り組んでいない何かなのです。
次期学習指導要領に関わる中央教育審議会の文章を是非お読みください。その最初に、今後も社会の中で生きなければならない子どもの姿が書かれています。そのようなレベルの問題意識で学習指導要領は改訂されています。そのために、教育全般を主体的で、協働的な学習に変化させるべきであると求めているのです。
変わりたくないのが人情です。だから、免罪符が欲しい。その人たちには「アクティブ・ラーニングは特定の教科で〜」は魅力的です。しかし、「アクティブ・ラーニングは特定の教科で〜」によって楽になるのは教師であって、子どもではありません。先に述べた次期学習指導要領に関連する中央教育審議会の文章を是非お読みください。特定な教科に矮小すれば、子どもたちの未来が危うくなります。
我々ホモサピエンスは本来、主体的であり、協働的な生物です。何らかの手立てによって子どもを変えようとするのではなく、子どもの中にあるものを引き出すことをベースにすべきだと思います。
簡単な理屈です。1校時は決まっています。教師が発言し指示をしている時間は、子どもは従属的になります。したがって、子どもが主体的になるためには、教師は発言や指示を控えなければならないのです。
今までは手立ての量と種類の多さが「引き出しの多さ」と言われ、評価されました。しかし、今後は手立てをどれだけ少なく出来るかを評価されるようになるでしょう。
地図が示すものは場所ではなく、方向です。いや、方向性と言ったほうがいいでしょう。つまり、一人一人の教師が学びの地図を用いて、子どもたちが主体的に自らの学びの地図を創り上げられる子どもに育てましょう。
皆さんも含めて、変わらなくていいなら変わりたくないのが人情です。しかし、集団の中には変わる人がいなければ、その集団は緩慢に自滅します。本書は、変わることをいとわない人のための本です。